『うわ、まじで最悪。』


1人だというのに、思わず口から本音が漏れてしまう程、最悪な状況に置かれた。


私の右手には、本日17時に提出締め切りの家族社会学のレポート。そして、目の前には、提出が出来ないよう投函口に封を貼られた13番のレポートボックス。只今の時刻17時10分。


"普段の授業から出席を取らないような適当な教授だから、どうせ締め切りも緩いだろう"そんな風に高を括っていた私。同じく家族社会学を選択していた友人達の助言に耳も向けず、締め切りの半日前までレポートに一切手をつけないかった今日までの自分に「世の中はそんなに甘くない」と言ってやりたい。



「あれ?そこのおねーさんも、もしかして間に合わなかった感じ?」


「意外に、藤田ってこういう所厳しんだよなー。」と、声をする方を振り返ると、ヘラッと笑いながら確実に私に話しかけているお兄さん。左耳にゴールドの2連ピアスを着けたチャラそうなお兄さんが右手に持っているびっしりと文字が印字されたレポート用紙を見る限り、お兄さんも締め切りに間に合わなかった私の仲間みたいだ。