「ほら、このタオルを使って」
「ありがとうございます…あの、」
「そのままだと風邪引いてしまう。シャワーを浴びるといい」
神楽坂先輩は何も聞いてこなかった。
ただ優しく微笑むだけだった。
その優しさが今は怖かった。結局裏切られてしまうんじゃないかって。
「陽菜」
「っ、はい」
神楽坂先輩は三日月形の目をして哂う。
「お風呂でゆっくり考えるといい」
私を見るふたつの瞳は、私の心の奥底まで見透かしてるような、深く暗い色をしていた。
でも何を考えたらいいのかわからなくて、結局シャワーを浴びている間は今までのことを思い出してずっと泣いていた。
「落ち着いた?」
「いえ…どうでしょう…」
「それで、どうする?」
「どうって、何を…?」
「陽菜は死にたくて屋上まで来たんだろう?あの時は濁していたけれど。つまりね、死ぬのか死なないのか、だよ。それか、死にたいのか死にたくないのか。どうしたいのかを聞いているんだよ」
しにたい。
しにたくない。
よくわからない。
どうしたいのか、どうしたらいいのかがわからないから悩んでるの。
「君は、死んで、消えて、なくなりたいの?」