3.少しずつ近くなる
あの後も茶化され続けて、なんとか通りかかったはいりに助けを求めその場を後にした。
「学校のアイドルとか、そんな風に呼ばれてたなんて。期待に添えなくて申し訳ないばっかりだよ」
「葉弥は自覚なさすぎ。中学の時もそう呼ばれてたよ」
「知らないよ聞いたことない!」
私はそんなアイドルなんて呼ばれて、高嶺の花扱いされるほどの人間じゃないと思うんだけど…はいりの方が背が高くてすらっとしてて、綺麗で笑った時可愛くて、よっぽどアイドルみたいなのに。
「何?人の顔ジロジロ見て」
「ううん、なんでもないよ」
それになんだかんだ言って面倒見よくて気配りもできて優しいし、私なんて手も足も出ないよ。
「にしても小動物が跳ねてるみたいとは?」
「何それ」
「さっき新宮君に言われたの」
「あー…」
はいりは宙を見つめて少し悩んでから「やっぱりなんでもない」と言った。
「気になる」
「本人に聞きなよ」
「えっ無理だよ」
「なんで?」
そう言われて今度は私が少し悩んでから「なんででも!」と言って早歩きで教室へ向かった。
「あれは相当意識してるな」
「だよな、俺もそう思う」
「うわびっくりした。なんだ一か」
「晴季の方も相当意識してるよ」
「これからが楽しみだね」
教室に入って後ろを振り向くとはいりは来ていなかった。教室の入り口から廊下の方に少しだけ顔を出してみると、はいりと一が腕を組んで何か話しているようだった。なんだか二人はそのポーズが似合うな…
「教室入らないの?もうすぐ先生来ちゃうよ」
そう言うと二人はにやにやしながら向かって来た。
朝から一といいはいりといいなんでにやにやしてるの?変なの。
それからその日の授業は、新宮君に言われた「小動物が跳ねてるみたい」という言葉の意味をずっと考えていた。私だったら、小動物が跳ねてると可愛いなって思うけど、新宮君が私に対してそう思うわけないしな…。やっぱり、新宮君に聞いてみればよかったと思った。
「連絡先くらい聞いても罰当たらないわよ」
昼休み、はいりにもう一度相談すると、そう言われてしまった。
「でもなんて言って連絡先聞けばいいの?」
「普通にLIME交換しようとかでいいんじゃないの?」
「うーん…よし、わかった!聞いてくる!」
食べていたサンドウィッチ一気に口の中に詰め込み、バタバタと教室を出た。うだうだ悩んでてもしょうがないもんね!思い立ったら即行動!
いきなり教室に来て連絡先を聞いてきた私に新宮君はすごく驚いていたけれど、快く連絡先を教えてくれた。
「ところで、小動物が跳ねてるみたいってどういうこと?」
気になっていたことを聞いてみると、新宮君は
「可愛いって意味だよ」
とサラッと答えた。