2.それは初めての






「そんな今日会って少し話しただけなのに」
「電話越しでもわかるくらい、声弾んでるけど」

恋してる女の子みたい。
でも私、恋っていうものがどんなものかよくわからない。

「まぁ、ゆっくり考えればいいんじゃないの」

はいりはそれだけしか言ってくれなかった。
結局今日はありがとうと改めてお礼のメッセージを送って、気づいたら眠ってしまっていた。
朝起きると一言だけ素っ気なくこちらこそとだけ返ってきていた。それだけで何となく胸がきゅっとなった。

「一」
「おぉ葉弥、おはよ」
「昨日は一応ありがとう。新宮君教えるの上手で、わかりやすかったよ」
「だろ?俺いつもテスト前に教えてもらってるんだよね」

学校に登校してからは一にも一応お礼を言っておいたけど、なんでも勝手に決めて勝手に進めるのはやめて欲しいなぁ。新宮君は大丈夫と言ったけど、きっと彼も迷惑してるだろうし。

「で、どうなんだよ?」
「え?」

私の心配を他所に、一はにやにやしていた。

「どうって、何が?」
「葉弥って学校でも可愛いって結構有名だしさー」
「なにそれ聞いたことない」
「告白とかされた?」
「昨日はそれどころじゃなかったよばか!」

一の肩を軽く殴ってから私は小走りで教室を出た。勝手なことしといて、新宮君に失礼だよ。
トイレに向かって歩いていると、新宮君が男の子と喋っているのが目に入った。新宮君は昨日と変わらず、友達と一緒にいる時も基本無表情で無口なようだ。
声をかけようか悩んだが、友達と一緒にいるし邪魔しちゃ悪いなと思いそのまま通り過ぎることにした。

「あ、小早川さん。おはよう」
「え!あ、お、おはよう!」

まさか新宮君の方から声をかけられるとは思ってもみなかった。驚いておはようの一言がすぐに出てこなかった。
私が驚いて口を開けて新宮君を見ていてると、新宮君は一緒にいた友達に茶化されていた。

「おいなんで小早川さんと話してるんだよ」
「別になんだっていいだろ」
「小早川さんは学校のアイドルなんだぞ」
「えぇっ私普通の人間です!アイドルじゃないです!」

私は学校でよく分からない存在になっているらしい。慌てて間に入ると、新宮君は初めて見せる満面の笑顔で、

「小動物が跳ねてるみたい」

と私に言った。