花のよう
初めて名前に出会った時、子供ながらに綺麗だと思った。
隣に越してきた苗字家。家族全員で挨拶に来てくれたとき名前のお母さんが話しているのもそっちのけで俺はお父さんの足の後ろに隠れる名前に見惚れていた。
日本人とほぼ変わらない顔立ちに少しだけ海外が混じった薄い色の大きな目。海外の血が混じっていると確実に分かる髪色。全部に釘付けだった。
日本語がカタコトなことが恥ずかしいという名前に俺といっぱい話そうと提案したときの花が咲いたように笑った顔で恋に落ちるっていうのはこういうことかと思った。
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中学生になって名前の綺麗さは増すばかりで家が近くて仲良くしている俺を羨ましいと言ってくる友達が増えた。
野球の練習の帰り名前が待ってくれていた。
「弓道の練習は?」
「今日は休み」
名前の歩く歩幅に合わせて歩いていると名前が腕を絡めて体を寄せてきた。こういうときは何かあって甘えるときだ。
「どした?」
「今日、告白された」
「…名前は元から可愛いしもっと綺麗になってるから」
「私は裕貴が好きだもん」
「……んん?ん?」
「知らなかった?」
「知らんよ!言われたことなくない?」
「言ったことないけど分かるかなって」
「そんなん言ったら俺が名前好きなのもわかったの?」
「私のこと好きなの?」
「知らんやん!」
「もう!好きなの!?」
「好きですけど!?」
半ばヤケクソな俺の告白を受けた名前は出会ったときのように花が咲いたように笑った。笑い方は全然変わんないなぁと思いながら腕に絡む手を離させて手を繋いだ。
頬を赤らめて嬉しそうに笑う名前を見ると俺も嬉しくなる。俺と名前の関係が恋人になった。