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「ごめんなさい?んー…ごめんなさいだよね、やっぱり」
夜の海を眺めてた。
3日後くらいにはシャボンディに着ける予定だし、カレン達にもちゃんと少し遅れるって連絡した。
後は特にすることもない。
「ゆっくり話すの久しぶりだ。大分元気になったでしょ?」
──そうだな。あのたらこ唇は傑作だった。
あの時の私の顔、エースが見たらきっと指差して大爆笑するんだよ。
それで私が笑い事じゃないって怒ったら、笑ってないぞって急に真顔になって
それから先は真っ赤に腫れた唇に常に目線がいってるの。
それでね、私が怒らないようにって
笑わないように気を付けるんだけどどこか半笑いで
結局私が怒るの。
絶対そう。
──ンな事しねぇよ。いやでも…ペンギンも中々やるな…!
ほら。
心の中でエースがけたけたお腹抱えて笑ってる。
あれ、でもヤキモチ妬いたりするのかな。
クレープでポッキーゲームしようとしてたんだよペンギン!
…どうなんだろ。
「エースはさ、ローも…だしペンギンもだけど。嫌じゃない?こう、モヤモヤしたりしないの?私が他の人と近いと」
なんでだろ。
こういうこと聞くと、エースが何て言うかが想像出来ないの。
他の話だったら考えなくてもぽんぽん出てくるのに。
「でもちゃんと言うからね。私はエースが傍に居てくれないからって、エースを忘れたり好きじゃなくなったりなんて絶対しないよ!」
────。
今回も言葉は浮かんでこない。
でもこれはさっきとは違うよ?
エースは照れてる。
あんなに直球勝負で好きを全面に押し出して来るエースだけど、反対に好きって言われると照れちゃうんだよね。
…可愛いなぁ。
ダメな自分を凄く突きつけられた、今回のハートの海賊団への訪問。
でもマイナスだけじゃなかった。
ちゃんと少しは前向きになれた。
きっとまだ、気持ちの整理がついてなかっただけ。
次は言える。
言う!!
頬杖を付いて、空を見上げたの。
よく星を眺めるようになって、今日は光が強いだとか数が少ないだとか
星空も毎日違う事を知った。
少しずつ満ち欠けする月の変化にも、前は気付きもしなかった。
今日は俯いてる月も、一度消えてはまた満ちる。
「っとにアイツは…」
「フフっ…!照れちゃって。ウイはちゃんとお見通しなのね」
船首で酒瓶を傾けながら夜空を見上げる女性から、少し離れた場所。
生温い風が翼の描かれた旗を揺らすマストの元で
それを見守る2つの影。
「心配じゃねぇの?」
「そうね…どっちもかしら?でもあの子は大丈夫!」
星と語らう彼女を見守るその眼差しは穏やかで、どこか嬉しそうだ。
その様子を、そんなもんか?と理解しがたい顔で首を傾げるもう1つの影。
「良いのよ。沢山悩んで沢山泣いても。悩んだり泣いてしまう程一生懸命に生きてるってことでしょう?」
「まぁなー…でも正直、これはちょっと俺としては複雑だ」
苦笑いを浮かべながらも、その原因を見つめる目は暖かいものだった。
時に楽しげに
時に俯きながら
今は亡き者と想いを交わそうとするその姿は健気で
けれど痛々しくすらある程に病的。
影は消えることはない。
でもその存在を、光の世界に示すこともない。
浮かばれぬ想い。
それは放ってはおけぬものを遺したが故の気がかり。
しかし彼は光の中へは踏み込まない。
住む世界が既に隔てられている事を彼は理解していた。
それは己の遺した未練。
彼女はそれを日々昇華させながら、ずっと待っている。
その時が来ることを。
それぞれの想いが繋がる日はいつか
訪れるのだろうか。
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