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「これよこれ!なんかほっとするー」
「わかる。俺もこれ食ってそれ思った」


白髭海賊団の朝ごはんは、基本めっちゃ具沢山の汁物。
ぶつ切りの肉や魚、保存の利くお芋や野菜がゴロゴロ入ってるこれは、日によって味付けは違うけどいつもなんだか懐かしい味なの。
宴はなくても二日酔い気味の人が多いのも見慣れた光景で、ダルそうに汁を啜る皆の姿は
ああ帰って来れたんだなって改めて思った。






「で?エースはどうだった?」
「ちゃんと優しくして貰ったか?」
「マニアックな事させられそうになったらいつでも言え!兄ちゃんが止めてやる!息の根を!」
「助けて殺すとかどんだけだよ」


まぁ こうなると思ってはいたよね


揃って降りて来た私達に向けられてたニヤニヤした視線は、ご飯貰って席に付いた途端どっと本体達が群がってきた。
なんか恥ずかしくて答える事もせずにかぶりついたお肉をもぐもぐやってたら、結局誰かが誰かに突っ込んでは爆笑って
皆勝手に楽しんでる。


まぁいいや
お肉美味しいし


エースは目の前に食べ物があればそっちに夢中だから、どうせ冷やかしなんて全く耳に入ってないと思う。
この会話に混ざる前にまず、絶対おかわり貰いに行く。





和やかで賑やかな朝のひととき。
おまえも何か言えよってたまに振られるのをスルーし続けてお腹が膨れるまでに、エースは予想通り四回は席を立った。


「あ、パパおはよう!」
「…孫が産まれたら俺も、ジイちゃんか…」









はい?









「ナース達も迎えに行く。マルコも居る。遠慮なく船で産め」
「パパ…あの…いや、うん。もしそうなれば…そうさせて貰うけど…」


通りかかったパパにおはようを言えば、朝ご飯を持ったパパが群がる皆を退かして向かいの席に座った。
そんなパパが言い出したのはどんな冷やかしよりも面食らう話。

船の出入口にチャイルドロックが必要だとか、大砲とか危ない物の周りに囲い作るだとか…
そんな事を真面目な顔でブツブツ言ってるパパが可笑し過ぎて笑ってしまった。

それからお腹が満たされたエースが話に混ざって来て、エースもエースで私が妊娠してる前提のモビーディック改装話は暫く続いた。


いや なんか呆れたり微笑ましかったりで口挟まなかったけど
流石に妊娠 してないと思うんだけど…






「オヤジ、コーティングはいつ依頼すれば良い?バラけたとは言えアイツらも半分以上は新世界戻ってんだろ?シャボンディにまた集まっちまうのもマズくねぇか?」


皆ご飯を食べ終えて、冷やかし隊も混ざっての雑談中
パパに船の進路を相談しに来た声を聞いて咄嗟に口が開いた。


「私!ちょっと寄る所あるから…あっちで合流するね」
「…俺もウイと行く。それと…二番隊の隊長を降りたい」


食堂がざわっと沸いた。
それはエースが私と来るってとこを冷やかしたいとかじゃない。
その後にだ。


「なんでだよエース!!」
「俺はエース隊長に!どこまでも付いて行きます!!」
「落ち着けおまえら。…理由を、聞こう」


パパは流石っていうか、動じてるようには見えなかった。
静かにただ伺うようにエースを見てる。

私も今朝それを聞いて驚いた。
驚いたけど、今は納得してる。


「俺の出生の事が世間に知られた以上、俺と動くヤツラの危険は増す」


昨日あんなに私の事でいっぱいに思えたエースの頭は、実は色んな事を考えてた。
得意じゃない筈なのに、それはもう沢山の事を。

これまで通りのままエースが動けば、そこに二番隊の皆も着いて来る。
人が多ければ目立ちもして、海軍にもゴールドロジャーに恨みを抱いている人達にも見つかり易くなる。


「オヤジの為に、おまえらの為に何かをしてぇのは変わらねぇ。だが…返さなきゃならねぇ恩も、配下の島や今後の白髭海賊団の事を考えても俺は…」


今のエースは、四皇が傘下の海賊を引き連れて救出に乗り出す程の重要人物で
海軍本部総戦力を相手に生きて逃れた脅威の存在。


「神出鬼没っつーか、目立たねぇように動いた方がリスクも減らせてメリットもあると…思ったんだが、オヤジはどう思う?」


追う側にとっては絶好の的で
歯向かう人達にとってはこれ以上ない脅威だ。


傘下の海賊達に恩返しをしながら、配下の島に目撃情報を残して他の海賊を威嚇しつつ
パパの、家族の役に立ちたい。
そんなエースの気持ちを聞いて、納得出来ない訳がなかった。

でもいくら納得出来てそれをしたい気持ちがあっても私達は前科持ち。
パパの意見を聞いてからって言われて、確かにと思った。

ここはパパの船。
私もエースもパパの子供。

今度こそ、親の言うことは聞かなければ。


エースと同じ目でパパを見つめてた。
私達に見えないモノが見えてるパパは、どんな決断を下すんだろうって。


「二番隊は今後暫くマルコの下に付け。それ以降はまた、状況を見て決める」


こんな大勢の人が居る中、しんと静まり返ってた食堂にパパの低い声が響く。
パパから見ても、エースのしたい事が間違いじゃないって
そう思ってくれたんだと思う。


「まずはこっち側に残るヤツらに返せるだけの恩を返す。…その前にウイと、礼とケジメを付けてぇ」
「バカ娘とバカ息子のせいで思いもよらねぇ縁が出来たな。…行ってこい。おまえの思うままに進め、エース」


気味が悪いくらい音のない空間で交わされた言葉に身が引き締まった。
パパはお礼の方は心当たりあるんだろうけど、何のケジメかは知らない筈だ。

エースのケジメじゃない。
私のケジメなのに、着いてきて貰っちゃって申し訳ない。


ちゃんと言おう
話そう
ハートの海賊団の皆に私の今の気持ちを

どんなに蔑まれても嫌われてしまったとしても
私はここに帰ってきたい

信頼して送り出してくれる家族の為に
エースが生きたい未来の為に
そこに居られる自分に胸を張る為に





ハートの海賊団に、ローに会って
話をして
ベガス聖とバーベキューして
こっちに居る白髭海賊団の傘下の海賊に出来る限りの恩返しをして新世界に、この船に帰って来る。


今後の予定の定まった私達はすぐにフリーウィングを出した。






でもやっぱり気は重いんだ

だって私は







あんなに想ってくれる人よりも
皆よりも

エースに手を伸ばしてしまった薄情者だから


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destruct at reality.