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「じゃあルテインの西側の海域で!近くなったらまた連絡するね」
『まだ海軍も警戒体制は解いてねぇ。…フリーウィングなら特に問題ねぇとは思うが…気を付けろよ』
「うん!」


モビーディックと別れて、直ぐ様ハートの海賊団に連絡を入れた。

気遣ってくれてる事も、急に連絡して都合付けてくれるのも
嬉しい反面その倍、いや何十倍も何百倍も苦しかった。


そんな気持ちででんでん虫を切って、無意識に吐いてしまったため息を包んでくれたのは
あったかい温もり。












「俺も一緒に居る。アイツらがあれこれ言うようなら即刻拐い出してやる。…あんま気にすんな」
「ごめん…ありがと、心強い。…ローのことそういう好きじゃなくなってもね、すんごいお世話になったし、ローも皆も大好きで、だからこそちゃんと…伝えたい」


きつく抱き締めてくれる腕を握り返した。


私が私である為に。
エースと生きていく為に。
あの優しくて楽しい人達のこれからの為に。


これは避けては通れない。


きっと一週間くらいで着く。
伝え、られる。
伝えなきゃいけない。


「ウイ…」
「ん、」


エースが今何をどう思ってるのかは知らない。
でも今重なる唇に私が思う事は


あなたが欲しい


ただそれだけだ。




見たくない現実への逃避

好きで愛して止まなくて そんな人が目の前に居て
人目も時間も気にする必要がない
だってここは海のど真ん中 私達以外誰もいない


言葉とか確認なんてなかった。


重なるだけだった唇は気付けばもう絡み合う舌が生む唾液まみれで、求める腕はいつの間にか服の中に滑り込んでた。


好きを求めた。
愛を求めた。

愛し愛される事を実感したかった。


怖くて逃げたくて仕方ない現実にも立ち向かう
立ち向かうから それまでは
頭の中を他の事でいっぱいにしたい


恥ずかしさなんて昨日で全て吹っ飛んだのか、無我夢中でエースを求めた。
きっとまるで動物みたいだった。

気付けば寝てて、目が覚めれば求め合って。
空に昇るのが太陽だろうと月だろうと関係ないくらい
何時間、何日そうしてたのかもわからないくらいずっと。

流石にお風呂入ろっかってなれば、お風呂でもそれは始まって
お腹減ったねってご飯の準備してても、離れる気のないエースはキッチンでも求めてくる

食べてまた戯れて、抱き締め合って眠って
目が覚めたらまた求めて。










「ねえ男の人ってさ、無限に出来る訳じゃないんじゃないの?」
「何回かビクッてなって出てない事はあった」


ほぉ


後ろから抱き締めて貰いながら、ソファーで微睡んでた。
私もエースも何も着てない。

密着する肌が汗ばんでようと、腰に力尽きたエースのモノが当たってようと
エースの腕に隠される事のない部分が丸見えだろうと

恥ずかしいって感覚なんて欠落したんじゃないかってくらい、外側も内面もさらけ出した気がする。


淫乱なのかも
本当に私


「ウイ好き。大好き」
「私も大好き」


ぎゅって抱き締めてくれる腕に顔を擦り寄せた。




求める気持ちって本能だ。
素だ。

面倒臭すぎてダメ過ぎる私を好きでいてくれるエースが、こんなに剥き出しで欲しいだけ求めてもまだ好きでいてくれてる。

私が求める以上に求めて貰える事が、更に嬉しかった。


どんな言葉でも優しさでも
埋まらなかった物が満たされたみたいな、そんな気持ちだった。






「はぁ…ねぇエース、とんでもなくダメな事言って良い?」
「あ?逃げたい行きたくない本当やだどうしよう逃げたいって、そんなとこか?」


流石にいつまでもあんな事してる訳にもいかない。
夜はまぁ、してたけど
でもちゃんと生活しながら待ち合わせ場所に向かってた。


まだ小さいけど、水平線にポーラータングの影が見えて
考えないようにしてたそれを黙って堪えるのがきつくなった。


「本気で思ってる訳じゃ、ないよ。逃げないしちゃんと話す」
「知ってる。…まぁ、そうもなるよなー」


エースはもう私がまだローの事を好きとか、疑ったりしてないみたいだった。

ローへの"好き"が、そういう"好き"じゃないけどまだ私の中にあるのも
ハートの海賊団の皆との関係が、私が誰を好きかで揺らぎかねない物なのも
全部わかってる上で同調してくれてる。


最悪凄いなじられて責められて見損なわれて
皆私の事なんて嫌いになっちゃうんだろうな


「どんなヤツらかとか、俺はアイツらの事ウイ程知らねえけど」
「うん」


エースの話をぼんやり聞いてた。
今何を言われても、今後の予定が重苦しい事は変わらない。


「不能野郎はともかく他のヤツラは…いや前会った時のあの感じなら直後は怒り狂うかもな」
「慰めてくれる気はないのね。…でも私も、そう思うから仕方ないか」


下手な慰めなんて何の役にも立たない。
見当違いの優しい言葉より、同じ最悪のパターンを想定して貰える方が解ってくれてるって思えて良い気がした。


「でも…時間立てば気持ちも変わんじゃね?本当にウイの事好きならいつかは」


ただ落ち込んでる私を励ますつもりって訳じゃないらしいエースの見解なら、信憑性は高いのかな。
今は無理でも、いつかまた笑い合える日が来るのかな。


「すぐ言いに来てくれた方が俺なら嬉し…くはねぇけど。マシ?…上手く言えねぇけどそんな感じ」
「なんか伝わった。…そだね、ありがと」


誠意を感じるって、そういう事が言いたいんだろう
エースは。







少しずつ近付いて来る黄色い潜水艦を見据えた。


覚悟は、決まった。

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destruct at reality.