対面

「入れ」

中から声がして、やはりこれは部屋なのかと内心驚く。
窪みに手を差し入れ押すが開かない。
あれ?力が弱いのか?力の限り押すがびくともしない。

「横だ」

中からの指示通りに横に引くとガラリとあいた。
引き戸かい!?
見た目は洋風なのに様式は和風とかどうなっているのか。
驚きながら顔をあげるともっと驚いた。部屋の中は和室だったからだ。
そして部屋の中央には着物を着た男が一人立っていた。

「ようこそ、私はーーー」

告げられた名前に身がすくんだ。政府上層部、その中の幹部の一人の名だったからだ。



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