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銀魂高校には王子がいるらしい。
その王子は今私の目の前にいて、じーっと私のことを見つめている。
困った。
何だか最近沖田さんからの視線が強すぎる。放課後のカフェにて、机に肘をつきとろりと甘い視線を私に送る。
一体なんなんだろう。私の顔はそんなに見ていて面白いのか。
「な、何か用ですか?」
「全然用なんてないぜィ」
「いや、最近こっち見すぎじゃないですか?」
「そりゃ周囲に最愛の彼女がいることをアピールするのは大切でさ」
「はぁ‥」
「てかお前いつ敬語取れるんかィ?」
「え!それ今関係なくないですか?」
「もうすぐバレンタインですぜィ。もっと熱々ぶりを見せつけてお前が他のライバル蹴落とさないと、またオレの下駄箱がパンクしちまいまさ」
沖田さんが言う事はあながち間違ってない。
私という偽物の彼女の出現により最盛期より落ち着いていた沖田さんの人気は、秋のミスコンで優勝したことによりまた少しずつ復活をしていた。
その結果、年末のクリスマス、大量のプレゼントで沖田さんの下駄箱の扉が壊れてしまったのだ。
中にはブランドものの時計なんかもあったが、沖田さんは興味がないらしく、ポーンと全てを孤児院へと寄付していた。
因みに私はというと特にプレゼントはいらないと言われたので用意せず。
その代わりといってはなんだが沖田さんにケーキを顔に投げつけられた。
クリームまみれになった私の顔を見て沖田さんは最高に大笑いをしていて、この時ばかりはこのクソ王子、とキレそうになった。
さらにいうとそのケーキの中にはネックレスが入っていて、「首輪だから四六時中つけていろ」と言われた。
という訳でその日は私にとって最悪かつ最高なクリスマスとなり、今も私の首もとには首輪もとい、可愛いネックレスがキラリと光っている。
「このままじゃダメでさ。名前、ちゅー解禁するしかねぇでさ」
「やっ、それは流石に私には刺激が強すぎます。っていうか私本気でファンに殺されます」
「殺される前に何とか助けまさ」
「いや無理です!無理!」
「じゃあせめて名前で呼んでくだせェ」
「っ、、善処します」
善処するとは言ったものの今さら沖田さんのことを名前で呼べる気はしなかった。
「沖田さんにはクリスマスのお礼もかねてチョコレートケーキを顔に投げてあげましょう」
「却下でィ。つか名前呼んでねぇじゃねぇか」
バレンタインが終わればもう3月になる。3月に入ればすぐ卒業式だ。
「バレンタインはいらねぇでさ。甘いもんにそんな興味ねぇんで」
「そうですか」
こんな日常を過ごすのもあと少し。
何だかあまり実感はわかなかった。
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