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結局バレンタイン当日、沖田さんの下駄箱はパンクした。
今日は部活はないとのことで、一緒に帰ろうとしたが、放課後になっても女子の群れの勢いは止まらず、全く沖田さんに近づけなかった。
遠巻きに女子の軍団を眺めていると近藤さんと土方さんに話しかけられた。
二人はまた沖田さんにお願いされたらしく、ファン対策で私の護衛をしてくれるようだ。
こうやって秋の文化祭の時もつい先日のクリスマスの時も守ってくれた。
「何だかクリスマスの時も今回も、せっかくのイベントの日なのにすみません」
「別に暇だから気にすんな」
「そうだよ。名前ちゃんもいつも大変だな。嫌がらせとか大丈夫なの?」
「あ、お陰様で最近は結構大丈夫です」
実際のところこの頃私の嫌がらせは前と比べて減っていた。
どうやら王子の彼女はいくら潰しても全然倒せない強靭な身体と鋼の心の持ち主だと噂されているらしい。
勿論これを耳にした沖田さんは涙を浮かべてゲラゲラ笑っていた。
「良かった!総悟いつも名前ちゃんのこと心配してるぞ」
「そ、そうですかね」
恐らくそれは沖田さんが最愛の彼女がいる演技をしているだけだと思う。
しかし近藤さんが嬉しそうに沖田さんの事を話すので何とも言えない気持ちになった。
「アイツと付き合うのも大変だな」
「まぁ画ビョウは売るほど集まりましたね。革靴も上履きも、何足消えたかもう分かんないです。」
「女ってコエーな」
「でも沖田さんに何だかいつも助けてもらいました。なくなる度に靴とか全部買ってもらって‥」
「しかし総悟に名前ちゃんみたいな彼女が出来て本当に良かった。アイツ、ずっと1人だったからさ」
「まぁ総悟は女嫌いなトコあったからな」
近藤さんも土方さんも沖田さんとは小さい頃から一緒の幼なじみらしい。
二人が沖田さんを大切に思っているということは普段の会話のふしから良く分かった。
だからこそ私のことも快く受け入れて、こうやって守ってくれるのだろう。
この二人は沖田さんと同じ大学に行くらしく、大学生活もその先も沖田さんと仲良く過ごすんだろうなと思うと羨ましい気持ちになった。
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