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幼なじみの沖田総悟は吸血鬼である。
代々沖田家に産まれる赤い目の男は吸血鬼だそうで。
どのタイミングで吸血鬼になるかは個人差があるらしいが、総悟の場合14歳の誕生日だったらしく、その日私は突然血を吸われた。

「何だかお前、いい匂いしまさ」
「えっ?」

気づいたらジュルジュルという音と共に血の匂いが鼻を掠めた。
その後から押し寄せてくる圧倒的快楽感。

「っや」
「んだ、コレ」
「そ、ご」
「気持ちいいで、さ」

口元を血で染めニヤリと笑った総悟の顔は今まで見たことのない表情だった。
今でも鮮明に覚えている。

吸血鬼だからといって、そんなに変わったところはなく、
私達と違うのは定期的に血を吸わないと生きていけないこと、
人間離れした運動神経があること、
日光に弱いこと、
爪が伸びるのが異常に早いこと、
可愛い八重歯が生えていることくらいだ。

総悟は週に1度ほど血を吸う。普通のご飯も食べるけどあまり腹にたまらないらしい。
血が飲みたくなるのは突発的らしく、その発作が起きると力が抜けて歩くのも困難になる。こんな例えはどうかと思うが、その姿は水に濡れたアンパンマンのようなのだ。


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