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「んっ」
「名前」
「何です、っん」
「っ」


先ほど晴れて恋人同士になった私たちだが沖田さんのキスの嵐が止まらない。



私達はいま剣道部部室の隣の部屋にいる。
ここは元々、女子剣道部が使っていたらしいが、それが廃部になったため現在は空き部屋のはずだ。

どうやらここを沖田さんはファンから逃げる隠れ場所にしていたらしい。

部屋には机や椅子どころか、テレビやソファーまである。
ソファーにはぬいぐるみと共に沖田さんの愛用アイマスクがあり、沖田さんが普段この部屋を自室のように多用していたことが窺えた。


「お、沖田さんってば、ん」
「ずっとしたかったんでさァ。させてくだせぇ」

この部屋のソファーに座らされてもう何度唇を重ねたか分からない。
沖田さんは私の頬に手をあてて、ニコニコと笑った。

その笑顔はこれまで見てきた表情の中でで一番嬉しそうで、それを見るだけで私たちは両想いなんだな、と照れてしまう。



「っあ」
「名前とのちゅー、気持ちいいでさ」


いつも毒ばかり吐く沖田さんがここにきてデレてきている。
普段は沖田さんが何か変なことを言ってきたら適当に流しているが、こうも嬉しそうな顔をされるとどうやって扱っていいか分からない。

恥ずかしくて何も返せず、ただ繰り返し上から降ってくるキスを受け入れるしかなかった。


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