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「学校で制服プレイという夢が叶いやした」
「ふざけたこと言わないでください」
「ふざけてねぇや。これは全世界の男子高生共通の夢ですぜ、馬鹿にしないで欲しいでさァ」
「だから真面目な口調で変なこと言わないで下さいって」
帰る頃にはすっかり暗くなっていた。
昼間は暖かいが夜はまだ肌寒く私は沖田さんにもらった学ランを上から羽織っていた。
「学ランって結構重いんですね」
「名前も意外に重いでさァ」
あの後、腰の重みになかなか立ち上がれずにいたら沖田さんに「仕方ねぇな」と、おんぶをされて帰路につくことになってしまった。
恥ずかしいからと遠慮をしたが沖田さんは半ば強制に私をおぶって離してくれない。
「じゃあ降ろしてください」
「冗談でさ。ほど良い肉の付き方してやした」
「っ〜、」
私が言葉に詰まると沖田さんはハハハと笑った。
今目の前にある沖田さんの襟元からは私の匂いが混じってしたし、私からも沖田さんの匂いが混じっていると思う。
そう、さっきまでお互いの匂いが混ざるくらいずっと二人でくっついていた。
ぼんやりとした照明が照らす道を春の風が吹く。
沖田さんはさらさらの髪を揺らしゆっくりその道を進んだ。
沖田さんの背中で初めて会った時のこと、恋をしたこと、泣いたこと、笑ったこと、今日あった出来事も、沖田さんとの色んな事を思い出した。
「なぁ名前」
「はい」
「大学入ったらオレぁ1人暮らしするんでねィ」
「え、1人暮らし?」
唐突だ。
今までそんな話聞いたことない。
「‥お前も卒業したらそこに住むと良いでさァ」
風が吹いて木々を揺らした。
学ランの裾がパタパタと翻る。
沖田さんの顔は見えない。
「‥‥‥返事は?」
「‥は、はい」
私が卒業するまであと2年。
これからもマイペースな沖田さんに振り回されるのは目に見えていた。
それに加えて新しい環境になってもどうせこの人はモテるだろうから、私はまた色んな事と戦わないといけない。
それでも今日沖田さんのボーナスタイムを知ってしまった私は、
この先の未来に幸せがあると分かったし、その幸せがピカピカと沖田さんみたいに輝いて見えたのだった。
うそつき番外編
おわり
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