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「っあ、だ、だめ!だめ!離して!」
「嫌でさ」



あっという間にスカーフを剥ぎ取られ、ワイシャツのボタンに手をかけられた。

「‥‥‥」

そこで沖田さんの手が止まった。
何か考えるかのように私のボタンを見つめている。

ここで中途半端に中断されると何だか余計恥ずかしい。
気まずい沈黙に耐えかねて言葉を発した。

「お、沖田さん、離し‥」
「いや、離しはしねぇんだけどねィ」
「え、」
「なんか一瞬で終わらせんのは勿体ねぇからゆっくり脱がしまさ」

沖田さんはそう言ってにこりと微笑んだ。


慌てる私を見て沖田さんはどうやらドSに戻ってしまったらしい。

宣言通りひとつずつ丁寧にボタンを外される。

私のシャツをハラリと脱がせると同時に「ヤバい」と一言呟いて、沖田さんは私の生身の身体にそっと触れていった。








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「大丈夫かィ?」
「‥だめです」
「力抜きなせェ、ガチガチでさ」
「そう言われても、もう私の限界越えてて‥」
「限界は越えるためにあるんだぜィ」
「何ですかそれ」
「と、いうわけで深呼吸でさ。このままじゃ入るもんも入らねぇ」
「っ、くっ、ん」
「名前」
「っ、あ」


鈍い痛みと共に沖田さんで溢れる私の心と身体に、沖田さん自身が混ざっていくような気がした。


沖田さんが私の涙を拭う。
本当にこの人といて辛いことは沢山あった。
嫌がらせも、惨めな気持ちも、不安な気持ちも全部抱えて私の心はズタボロだ。こんな片想い、二度としたくない。

でもこうやって沖田さんの瞳で、手で
、唇で、宝物のように触れられたらもう私の負けに決まってる。


「名前、好きでさ」
「っやぁ、」
「‥好きでさ」



沖田さんは私に好きという言葉を何度も落としていった。

それは私の身体に浸透して、涙になって目からこぼれていく。


「泣き虫だねィ」


誰のせいだと思ってるんだ。
沖田さんは夕陽に照らされて、ピカピカとずっと輝いていた。



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