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―6話

家に帰ってきたのは深夜になってしまった。
銀八に再三泊まればと言われたが、何となくあることが気がかりで帰ってきた。
銀八はマンションの前まで原チャリで送ってくれた。


「遅い」

帰ってきて正解だった。
気がかりだったものがうちのドアの前にいる。


「高杉、何でいるの」
「お前ベランダの鍵閉めたろ」
「だからってそんなとこで待たなくても‥」


5月になり日中は気温が高い日もあるが、夜風はまだまだ冷たい。

高杉は私の手を引っ張り自分のほっぺたに当てた。冷たくなっている。


「あー、あったけぇ」
「ほっぺた冷たいね」
「‥オレ、待ってるから」
「何時から待ってたの?」
「いや、そうじゃなくてお前のこと‥」
「早く入り」


ガチャガチャと鍵を開けて家に入れた。


「寒かったでしょ。お風呂沸かすね」
「‥お前は?」
「あとででいいよ」
「アイツんちで入った?」
「そんな訳ないじゃん」
「大人の階段はオレと登れ」
「何馬鹿なこといってんの!」


高杉にバスタオルをポイっと渡して脱衣場に押し込んだ。
最近の高杉はなんか変だ。




ーーーーー



最近のオレはなんか変だ。
何をやってもうまくいかない。

理由はわかってる。
もちろんあの幼なじみのせいだ。

今日もアイツがデートだと思うと気が気じゃなかった。
ずっとそわそわして、女でも呼んで気を紛らわそうとしたが全然コトも手がつかない。

仕方ないから名前のベッドで寝てようと思ったがアイツんちのベランダの鍵も閉められてて軽く絶望した。


名前が何を考えているのか分からない。
アイツはオレがどんなにアピールしたって全部冗談だと思ってるのかまったく通じない。

多分オレが名前のこと好きだなんて一ミリも気づいてねぇんだ。本当にむかつく話だ。


さっきだって「名前のこといつまでも待つからオレにしろ」って言おうとしたのに流されるし。
「大人の階段は一緒に登ろう」って言ったらバスタオルものすごい勢いで投げつけてくるし。


こっちだって一応毎回アピールすんのに勇気がいるのによ、何だよアイツ‥。

(どうしたらいいか全然分かんねぇ)


ため息を吐きながら頭からシャワーを浴びた。


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