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「んな可愛い声でやだって言われても嫌に聞こえないでさ」
「っ…ひゃぁんん、」
「声でかすぎると聞こえちまうぜィ」


沖田さんの匂い、声、身体への刺激に意識がくらくらする。
自分でも驚くような高い声をからめながら息をするのがやっとだ。


「っぁ」
「その声、女みてぇでそそりまさ」


女みたいって…元々女なんだって…という突っ込みを入れる余裕もない。
沖田さんは器用に私の身体を扱い、あっという間に下着にまで脱がされた。


「やぁッ…待っ…て」
「別にいいだろィ。お前の裸は前にも何回か見たことありまさ」
「そ、そうですけど…もう、私限界で…」
「馬鹿、オレのが限界でさ」


沖田さんはそう言うと私のパンツに手をかけた。

「これまでどんだけ我慢してきたと思ってんでィ。今までの自分に拍手でさ」
「っ、ぁ」
「やっとなんでィ…もっとその鳴いてる聞かせてくだせェ」
「っ…」


沖田さんの瞳が私を求めている。


愛しさと恥ずかしさと不安と、
言葉にならないぐちゃぐちゃの感情が喘ぎ声となり口から溢れる。


「あっ、いやぁ…」
「顔…えろ…」
「ふ、ぁっあっ、ンンン」


身体中を愛でられて何度も甘い電撃がビリビリ走った。


「待っ…待って…やぁっ」
「ダメでさ」


(ドエスすぎる…)

以前の打たれても打たれても続いた剣の稽古をふと思い出す。
稽古の時は傷が痛くて死にそうだったが、今は気持ち良すぎて死にそうだ。

何度も頭が真っ白で空っぽになったと思いきや、沖田さんでひたすら埋め尽くされた。


「…ひゃあぁ」
「またイッたんかィ」
「っん、は、ぁ、」
「お前の顔見てるとつい苛めたくなるねィ」
「…ッぁん」
「んあ〜、もう耐えらんねぇや」


沖田さんの首に腕を回されたと同時に腰に鈍くて甘い重力を感じる。

「あッ」
「っく」

うつ向いた沖田さんからふ〜…と漏れる甘い吐息に、熱を持った身体がドクドクと一層熱くなった。
身体の奥がうずうずとして逃げたしたい気持ちになる。

「ぁっ、沖田さっ…」
「お前…やば…」


目の前のある沖田さんの揺れる鎖骨がやけにリアルで、嬉しさと恥ずかしさのあまり目を瞑る。



「あんっ、ん」
「名前…」
「はっ、」
「結婚、してくだせぇ」
「えっ、」
「だから」
「あ、やっ」
「結婚でさ」
「ちょ、待っ…あっ」



びっくりして瞑っていた目を開けるが、沖田さんは意地悪そうに笑ってもっと腰を揺らした。


「ゃッん、ま、待ってくださ、」
「待たねぇよ」
「あっ…ちょっと…止まっ…」


身体を離そうとじたばた暴れると沖田さんは少し止まって私の顔を覗きこんだ。

こんなタイミングでそんな発言をしてくる人がいるだろうか。


汗をかき、頬に熱を持つ沖田さんの瞳が私を見た。


「お前はオレがいないとダメだからねィ」
「…逆です」


沖田さんは笑った。
可愛くて年相応の、私が惚れた大好きな笑顔。


「ハハ、違いねぇや。もうお前がいなきゃオレぁダメでさ」


コツンと額をくっつけて沖田さんは嬉しそうに呟いた。


「二人でいれば最強ですぜィ」


最強…
確かに私は沖田さんがいれば最強になれる。

あのひとり孤独に戦っていた沖田さんが、自分と同じようにそう思ってくれているのかと思うと、何だかとても誇らしくて涙が出た。


「何でィ」

沖田さんは私の涙を拭った。


「…っ、ずっと、側にいたいです」
「分かってら」



沖田さんの照れくさそうな笑顔がピカリピカリと光って見えて、この間見た宇宙の星達を思い出した。



うれしい
だいすき
しあわせ


この人を全部守ってあげたい。

このしあわせが
ずっと続くように


「私、沖田さんよりも…強くなって、守ってあげますね」



沖田さんは私の呟きに一瞬瞳をパチクリさせたが、くしゃりと笑顔をつぶした。


「ハハ、お前やっぱり最高の女でさ。敵わねぇや」









つづく





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