「毒が入っていると言えばどうする」
手渡されたグラスに口を付けようとした瞬間。ギルガメッシュからそんなことを言われて、ルーラは思わず目を瞬かせた。
受け取ったグラスをほんの少しだけ眺めるが、毒が入ってるかどうかなんて見てわかるものではない。それに、別に毒が入っていたとしても答えは変わらないのだから、ルーラは気にすることなくグラスの中身を呷った。
「うちはおーさまから貰えるもんやったらなんでも嬉しいし、ほんまに毒入っとっても飲み干せるよ」
そう言ってへらり、と笑えばギルガメッシュの目がきゅ、と細められる。返答を間違えたのかもしれない。鼓動が早くなって、握ったグラスを持つ手に力が入る。ぎゅう、と身を固くしてギルガメッシュからの裁定を待つが、やってきたのは一言のみだった。
「たわけ」
ゆっくりと顔をあげれば軽く額を弾かれ、ルーラは目をぱちくりさせる。思わずギルガメッシュの方をみるが、ルーラのことなどお構い無しに蔵から新しいグラスと酒を取り出している。別に怒っているわけではなさそうだが、機嫌が良い訳でもない。
落ち着かずに視線をうろうろとさまよわせていれば、ギルガメッシュから新しいグラスが差し出され、それを大人しく受け取ると今度はゆっくりと口をつける。
差し出された酒は、さっきのものよりもほんの少しだけ苦く、舌がピリリとひりつくような不思議な味がした。
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