自室にへと戻り、寝台を覆っている帳を上げれば、キャスターの膝の上に頭を起きながら丸まって眠るルーラの姿が目に入り、アーチャーは微かに眉をひそめた。
アーチャーのその僅かな変化に気づいたのか、キャスターが口の端を釣り上げ、ニンマリと笑った。

「愛いであろう?」

そう言いながら見せつけるようにルーラの頭を撫でるキャスターの姿に苛立ちながら、アーチャーはこれみよがしに空けられている隣にへと腰掛けた。その間もキャスターはルーラの頭を撫で回している。これだけ触られても起きないのだから、ルーラの警戒心の無さには一言申したいが、言ったところで直るものではない。それに、こうして無防備に眠るのが自分の前だけであることもとうの昔に知っている。

「先程まで起きておったのだがな。お前が戻るほんの数刻前に寝おったわ」
「よく言う。寝かしつけたのはお前であろう」
「最近は休息も取れておらなんだからな。たまには良かろう」

そう言ってルーラを撫で回すキャスターの瞳の奥深くに、深い執着と独占欲が渦巻いているのに気づいてアーチャーははぁ、とため息を吐いた。
老いた自分_____キャスターのギルガメッシュの執着は、己のものよりも数倍厄介だ。外堀を埋め、囲い、内側からゆっくりと作り替えていく。あ、と思った時にはもう遅く、頭から丸呑みにされてしまう。
アーチャーの執着を鎖だとするのなら、キャスターは毒だ。それも、とびきりタチの悪い、依存性のある毒薬。

(我が事ではあるが、趣味の悪い奴よな)

自分のことを棚に上げて、アーチャーは心の中で独りごちる。多少の居心地の悪さを感じながら、ため息を吐いたのだった。


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