ベッドに座りながらタバコを咥え、火をつける。ゆっくりと息を吸い込めば、肺に不健康な煙が流れ込んだ。そのまま同じようにゆっくりと息を吐きだして、白い煙を目の前でゆらゆらと揺らす。

「煙たい」

はっきりと不機嫌を滲ませた声。顔を上げれば目の前にギルガメッシュが顔を顰めて立っている。いつの間にか勝手に部屋に入ってきたらしい。
臭い、と眉をひそめるギルガメッシュを見ながらルーラはふぅ、と息を吐き出した。白い煙が部屋に広がって、タバコの匂いが濃くなる。

「うちが他でタバコ吸うの、おーさまが嫌がるやん」

喫煙所でタバコを吸えば、他が吸ったタバコの匂いが移る。それをギルガメッシュはひどく嫌がった。
正直タバコの匂いなんてどれも同じように思うが、ギルガメッシュからすれば違うらしい。以前クーフーリン本人がいる前で狗臭い、と言われてから気まずく、ルーラはできるだけ喫煙所を利用しないようにしている。

「喫煙所で吸うぐらいやったら、ここで吸うとる方がええやろ?」

煙を吐き出しながらへらり、と笑うが、ギルガメッシュの顔は険しいままだ。せっかく綺麗な顔をしているのに勿体ないな、と思いながら、ルーラは吸いかけのタバコの火を消すと、ギルガメッシュの方に手を伸ばした。

「タバコのかわりに、おーさまがうちの口塞いでよ」

からかい混じりにそう言えば、近づいて来たギルガメッシュの指が顎にかかる。あ、と思う暇もなく唇同士が触れて、ルーラは目をぱちくりさせた。

「貴様が望んだことだぞ」

くつくつと喉を鳴らしながら、ギルガメッシュが笑う。本当にキスされるとは思わず、ルーラはうろうろと視線をさまよわせる。思わず腰が引けるが、間髪入れずにギルガメッシュに片腕を掴まれればもうどうしようもなかった。

「口寂しければ我が塞いでやる」

そう言って再び押し付けられたギルガメッシュの唇は、タバコの苦さをかき消すような甘い味がした。


topnext→