もぞり。隣が動く感覚に、ルーラはゆっくりと意識を浮上させた。もうそんな時間なのか、と時計を見るがそんなことも無い。ギルガメッシュとて寝返りを打つこともあるか、と考えた矢先、ギルガメッシュの小さな声が聞こえ、ルーラは起き上がるとギルガメッシュの方を向いた。

「おーさま……どないしたん?」

思わずそう問いかけるが、ギルガメッシュからの返答はない。不安になってギルガメッシュの顔を覗き込めば、薄く開けられた瞼から見える赤い目は、輪郭を失ったようにぼんやりとしていた。

「おーさま、」

明らかに普段と違う様子に、ギルガメッシュを起こそうと体に触れた瞬間、ギルガメッシュがルーラの腕を掴んだ。

「エルキドゥ、」

小さくかすれた声だったが、確かにそう聞こえルーラは僅かに目を見開いた。
唯一の友が泥に帰る瞬間。ギルガメッシュの魂に刻まれた別離の記憶。それを、今、ギルガメッシュは夢の中で見ているのだろう。
ほんの少し悩んで、自分の体温を知らせるように体を寄せると、金糸を梳くように手を動かしてそっと頭を撫でる。空いた片手は子供をあやすように優しく背中を叩く。
いつだったか、悪夢を見た自分にギルガメッシュがしてくれた記憶を引っ張り出しながら手を動かせば、しばらくして、瞼がゆっくりと下り、すう、と穏やかな寝息が聞こえてきて、ほ、と安心の息を吐いた。

(エルキドゥ、召喚出来たらええなぁ……)

カルデア式の召喚なら、いずれ縁をむすべればエルキドゥを召喚することも可能であろう。
自分はエルキドゥにはなれないし、ギルガメッシュの唯一にも特別にもなれないけれど。それでも、ほんの少しだけでもギルガメッシュの力になれれば、とそう思ってしまうのだ。


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