安室さんの彼氏力

お兄ちゃんと意味深な電話をした後、折り返し連絡が入り聞かなかったことにしてくれと念押しをされたのも早1週間前。

「どうかしましたか?」

この人が、警察官?

テーブルを片づける安室さんを凝視していると、その視線に気が付いたのかニコッと笑って声を掛けてきた。悔しいけどかっこいい。

「…安室さんって、探偵ですよね。」
「そうですが?」
「…そうですよね。」
「何かお困りなことでも?」
「いや、そういうんじゃなくて…。ごめんなさい、気にしないでください。」

もし私が問いただしたところで、発言元を問いただされお兄ちゃんが起こられることになるかもしれない。それだけは避けたい。

私は小走りでキッチンに戻ると、安室さんが腕を掴んだ。突然の接触にドキっとした。

「え、な、なんですか…?」
「今日この後、時間ありますか?」
「え?」
「うち、来ないか?」

そんな耳元で急に砕けた口調で来るのはずるい。断る理由もないので私は顔を真っ赤にさせて頷いた。






「お疲れ。」
「お疲れ様ですっ」
「夜ご飯何食べたい?」
「え、」
「まあ外で食べてもいいんだけど、俺は早くみのりと二人きりになりたいから。」
「っ…あ、わ、わたしもっ」
「顔真っ赤。可愛い。」

安室さんの彼氏力は、本当にすごい。私は既にキャパオーバーになりそうで、プシューっと頭から湯気がでそうだ。その様子を見て安室さんはニコニコとしているんだから、確信犯なんだろう。本当にたちが悪い。

「寿司でも買って行こうか。」
「…お任せします。」
「あれ、もしかして緊張してます?」
「っ安室さん性格悪い!!」
「あはは、悪い。あまりにも固まってるからつい。」
「もー…1ヶ月放置だったくせに。」
「それはこっちの台詞。」
「わ、私は安室さんが忙しそうだったから気を遣って!」
「そんなこと気にしないでいいのに。」
「…あ、安室さんだって…誘ってくれたら、私行ったのに…。」
「寂しかった?」
「…寂しかった。」

そう言えば安室さんはくしゃっと笑って私の頭を撫でた。この笑顔が見れるなら、別に彼がどんな人でもいいや。