「安室さんって、警察の方なんですか?」
そう言われるのは想定内だった。そもそも風見が怒られることを気にしてるところでこういう感じの話だろうなとは思っていたが、風見がうっかり話してしまったというならやはりあいつには説教が必要だな。
「風見から聞いたのか。」
「…私が、騙したような言い方しちゃったから。」
「騙した?」
「…安室さんの部下だって、安室さんに聞いたって多分嘘ついた。私の憶測だったのに…。」
「…なるほどな。」
「だからお兄ちゃんは悪くないの。」
そう言って彼女は俺のシャツの裾をギュッと掴んできた。あざといにも程がある。
「…今から言うことは、誰にも口外しないと必ず約束してほしい。」
「約束、するよ。」
「…俺は風見の直属の上司ではないが、立場上よく行動を共にするいいパートナーだ。そして俺たちは日本を守る警察として勤めている。」
「…でも、そんな人がどうしてポアロでバイトを…?」
「それも捜査の一環、ということしか言えないが俺は安室透として生活をしている。」
「…あなたは、誰?」
こういうとき、勘の鋭さが助かるというか、困るというか。でもここまで話したら彼女に言わない理由もない。
「降谷、零。」
「…ふる、や…れ、い。」
「ああ、これが俺の本当の名前だ。」
「…降谷さん、」
「今まで言わず隠していて悪い。」
「…降谷さんっ」
「ん?」
「お家ではこれから、そう呼んでもいいですか?」
「…ああ、君にそう呼んでほしかったんだ。」
みのりは笑って俺の名を何度も呼んだ。
その後俺たちは三度目のキスをした。名前を呼んで笑う君が愛おしかった。
*
翌日。
「風見。」
「は、はい、」
「お前が最近やけによそよそしかった理由がわかった。」
「!?え、あの、」
「みのりには全部話した。俺が降谷だということも。」
「そ、そうでしたか…。」
「要件はそれだけだ。じゃあ俺はこの後ポアロでバイトがあるから、」
「降谷さん。」
「…なんだ?」
「…みのりのこと、よろしくお願い致します。」
「…ああ。」