てっきり一緒に住むって言っても1週間くらいだと思っていたため、まさか引っ越しを要するとは思わなかったのに、その日のうちに引っ越し業者となんでも屋さん(という名の梱包を手伝ってくれる人たち)がうちに押し寄せた。
突然だったけどもともと家に物を置いてなかったので、人数の割に物がなく作業も1時間程度で終わってしまった。あっという間に今朝まで住んでいたお部屋はものけの空だ。
こちらの家に来てほしいと言われ移動したところは以前から行っている家ではなく、よりセキュリティなどがしっかりしてそうな何とも近寄りがたい高層ビルのようなところ。ここは安室透の家ではなくきっと降谷零の家なんだろうなと思いながら受け取ったカードキーと鍵、そしてコードを入力し家へと入った。
「…おじゃましま〜す…。」
家に入ってみればシンとした様子を見るとまだ降谷さんはいないらしい。生活感のない部屋をゆっくりと入っていくとリビングに飲み終わった後のカップや新聞が雑多に置いてあることに少し安心感を覚える。
それにしても落ち着かない家だ。私は本当にここに住むと言うのか…。とりあえずダイニングテーブルの椅子に心もとなく座ると降谷さんから連絡があった。
「もしもし?」
『家に着いたかな?』
「着きました。…無駄に広いし怖いんですけど。」
『これから君の家になるんだから慣れてくれ。そうだ、荷物だが、今別スペースに届くようにしてある。俺は今そこにいるんだが、悪いけど電化製品は全て廃棄させてもらった。』
「え!?そ、そんな…。」
『うちにあるんだからいいだろう。』
「次引っ越すときまた買わないといけないじゃないですか!」
『…まあその時があれば俺が買ってやる。』
その時があればって、私いつまでここに住むんだろう…。降谷さんからの明確な説明はまだなかった。
『これから帰るが、何かこれだけはという荷物はあるか?』
「あ、必須って書いた段ボールが1つあるのでそれだけ持ってきてほしいです。」
『了解。』
「あ、あの…安室、さん…。」
『…降谷でいい。』
「あ、降谷さんっ、…寂しいので、早く帰ってきてください。」
『…ああ。急いで戻る。』
慣れない家に一人、不安な気持ちで降谷さんの帰りを待った。