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「わあ、おいしそう!」
「コーヒーでいい?」
「あ、はいっ!ありがとうございます!」

これで成人女性なのか疑うほど、辻川は幼かった。体系とかよりも普段ちゃんと化粧を施していてもあどけなさがあったのだがこうも全てを落とした状態の彼女を見ると年齢詐欺と言っても過言ではない。

その上俺のサイズ違いのスウェットを抑えながら引きずるように歩いてきたときは思わず笑ってしまいそうになった。下を脱がせたはいいものの、日焼けをしていない真っ白に伸びた足や肩周りも大きいため少しずれるとその中に有るものが幾度と見えそうになる。

ダメだダメだ、彼女は部下だ。

用意できた朝ご飯を彼女の前に並べるとまた歓声を上げた。


「いただきますっ」
「召し上がれ。」
「…お、おいしい〜!」

笑顔で食べる彼女を見て思わず綻ぶ。なんて素直な人なんだろう。俺はこの子を公安に入れてしまってよかったのかと最近思う時がある。

危険な任務がこれから増えるかもしれない。目の前の彼女を、失うのが怖い。だから大切なものを増やすことが、俺は嫌なんだ。

「降谷さん?」
「ああ、ごめん。少しぼーっとしていたよ。」
「何か考え事ですか?」
「ん〜そうだね。」
「私でよかったら聞きますよ?降谷さんが話して楽なら話してください。」
「…そうだな、じゃあ聞いてくれるか?」
「はいっ!」
「…とある部下についてなんだが、そいつの話を別のやつから聞く限り、凄く張り切って色々なことを頑張ってるというのが分かって俺は凄く嬉しいんだけど、凄く心配でもあるんだ。」
「……。」

辻川は自分のことを言っているのかと悟ったのか、ゆっくりと俺の目を見る。初めて出会ったときは目も合わせてくれなかったのに、成長したんだな。

「大切に思う反面、俺は少し後悔してる。」
「後悔…?」
「そいつを俺たちみたいな危険な現場に連れて行かなくてはならなくなることに対して。そのままの場所にいれば、きっと命に係わることはなかったはずなのに、な。」
「…降谷さん、が思ってるその人は、きっと後悔などしていません。」
「……。」

いつから、こいつはこんなに強い目を持つようになったんだろう。たった1ヶ月と少ししか経っていないのに、まるで別人じゃないか。

「まだまだ未熟で、風見さんがいないと何もできないけど、いつかあなたの背中を守れるほど大きくなります。」
「……。」
「それまで、待っていただけますか?」

俺は我慢できず彼女の腕を引っ張り自分の胸に押し込めた。軽くて、羽のように飛んで行ってしまいそうな彼女は俺の背中に手を回し、ギュッと抱擁を交わした。

もう部下とか子供とか関係ない。俺は辻川みのりという女が欲しい。

「欲しい。」
「え?」
「お前の全部。言葉も、体も、心も…。」
「っ…、」
「俺にくれないか?」

この小さな体が、手に入るうちに。