朝、目が覚めると微かな頭痛と見覚えのない高い天井とふかふかなベッド。ここはどこだろうと怖くなった。私は恐る恐る扉を開きリビングに足を向けると、ソファに降谷さんの姿を発見し青ざめた。
まさか、ここは降谷さんの家ではないのか?そう思った瞬間私は罪悪感と昨日の自分への後悔の波が押し寄せた。降谷さんが起きたらなんと言おう。まずは謝って、その後は…。あたふたとしているとくすっと笑い声が聞こえた。
「ふ、降谷さん!お、おおおはようございます!」
「ああ、おはよう。お前朝から百面相しすぎだ。」
「だって起きたら綺麗なお家で降谷さんいるし、あの、本当に昨晩はご迷惑をお掛けし申し訳ございませんでした!」
私は勢いに任せ頭を下げる。ご飯を御馳走して頂いきその上車を運転してくださっただけでも有難いのに酔い潰れた部下を介抱するなんて…本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「シャワー浴びてくれば?」
「へ?」
「昨日そのまま寝たろ。」
「あ、いやでも、」
「部屋着、その辺にあるの使っていいから。」
「は、い…。」
私は降谷さんに言われるがままシャワーをお借りすることにした。というか降谷さんも今日お休みなんだろうか…とにかくお風呂に入って身なりを整えたらすぐに家を出よう。これ以上降谷さんに迷惑を掛けられない。
「それにしても広いお風呂…。」
思えば降谷さんと話しているとき、奥はかなり高そうな景色が広がっていた。高層マンションなんだろうな、私は小さなアパートに住んでいるのでこんなお家入ったことがない。そわそわと落ち着かない中でシャワーを浴び、足早にお風呂を出た。
借りた部屋着は亜たらい前だけどデカくて、上は肩が出てしまうし腕は行方不明だし、下は抑えてないと落ちてしまう上に丈をかなり引きずっている。どうしよう、これ昨日着ていた服を着た方がましなんじゃないか…でもせっかく貸してくださったものを着ないのも失礼な話…私はずるずるとズボンを抑えながらリビングに出た。
「…ひっどいな。」
「え、と、ありがとうございましたっ。」
「それ抑えてないと落ちるの?」
「あ、すみません…せっかく借りたのに、サイズがやっぱり合わなくて…。」
「まあだよな。下脱いじゃえば?どうせ長くなってるから隠れるだろ。」
「そうさせて頂きます。」
抑えていた手を離しストンとズボンを脱ぐ。何とも瑞穂らしい格好だと思いつつ、私は安室さんの隣にちょこんと座った。
「子供みたいだな。」
「…幼児体型ってよく言われます。」
「昨日背負ったとき乗ってる気しなかったもんな。」
「え!す、すすみませんっそんなことまでしてもらっちゃって…。」
「いいよ。お前で体重何キロくらいなんだ?」
「…普通女性に体重とか聞かないと思います。」
「犬。」
「うっ…た、ぶん昨日お肉とか食べたし…40kgはいってると思います。」
「てことは普段30kg代?お前大丈夫か?」
「元気に生きてます!でも、安室さんだって細いじゃないですか!」
「俺の場合筋肉だから体重はあるよ。辻川の倍はあるだろ。」
「ええ…まあ、身長もありますもんね。いいなあ。」
おまけに顔もかっこいいし、こんなマンションに住んでるし。こんな男性と話せている私は幸せ者だ。
「ご飯でも食べるか?」
「え、いえそんな、髪乾かしたら帰りますっ。」
「何か用事でもあんの?」
「…ないですけど、降谷さんにもうこれ以上迷惑かけられないので…。」
「迷惑じゃないよ。…じゃあ俺に迷惑を掛けたことを申し訳なく思ってるならご飯くらい食べていけ。」
「…ずるいなあ。」
降谷さんは私の頭を撫で、キッチンへと向かった。この人にできないことはないのだろうか。私はまた顔が赤くなりそうなのを隠すように体育座りをして顔を埋めた。