おさそい


【今日は久しぶりに外でご飯食べませんか?】

そうみのりから連絡が入っていた。彼女から外に出かけようと言われるのは滅多にない、そいうかほぼ初めてじゃないか?既に時間は21時を回っていたが、彼女は確か翌日シフトは休みで俺も夕方からポアロのバイトがあるだけだ。

そうとなれば了解と連絡を返した。俺が好きな店を教えようと思い家まで迎えに行くと言ったのにお店のURLを教えてくれだの自分で行くだの言われ結局お店で約束することに。今日は何だか自分の意見をちゃんと言う彼女に何かあるのかとそわそわとしてしまう。

しかしそのそわそわは想像以上のものとなって返ってくることは今は知らなかった。



【お店の前にいますね。】

待ち合わせの5分前、俺は急いで車を停めお店に向かった。するとそこにはいつもの彼女とは雰囲気が違う、彼女の姿があった。

「あ、安室さんっ。」
「…みのりさん、今日はなんだか雰囲気が違いますね。」
「えへへ、そうですか?」
「ええ、すごく綺麗です。」
「安室さんにそう言われると照れちゃいますね。ありがとうございますっ。」

いつもは素材そのままでいる彼女だがヘアメイクが施され、可愛らしいワンピースから伸びる足が綺麗すぎて目のやり場に困った。

どうしてこうも女はたくさんの顔を持ってるんだ。こちらの心臓が追いつかない。

「安室さん?」
「すみません、少しぼーっとしてしまって。」
「…もしかしてやっぱりお仕事お疲れですか?すみません、私せっかくこうやって着飾ってみて浮かれちゃって…安室さんが疲れているとか気にもしないで誘ったりしちゃって、」
「それはいいんです。すみません、ぼーっとしてたのはみのりさんに見惚れていた、という意味です。」
「…本当ですか?」
「はい。なのでお店に入りましょう。」

そう言って彼女の手を取ると、彼女はいつものように少し照れながら笑った。いつもと一緒だけど違う彼女に、柄にもなくドキドキとした。



*

「本当に美味しかったです…。」
「でしょう?いつかみのりさんと来たいと思ってたんですよ。」
「嬉しいです。」
「…今日は本当に可愛いですね。それだけ可愛いと誰にも見せたくなくなるな。」
「…安室さんの為に、やったのでそう言ってもらえると嬉しいです。」

今が家だったら俺の名前を呼んでくれたのだろうと思うと少し悔しいが、きっと家だったらこのまま押し倒していた可能性も十分にある。

俺はふうと息を吐き、そろそろ出ようと伝えるとその後をみのりがちょこちょこと着いてきた。ヒールのせいか、いつもより顔が近くてキスしたくなる。会計を済ませエレベータなー内でじっと見つめていると何かついてますか?と両手で顔を覆った。そんな姿も愛おしい。

「早く家に帰りたい。」
「…降谷さん、」
「ん?」

車の中に入るなり、みのりは緊張した面持ちで俺を見た。その瞳は少しうるうるとしていて、頬も微かに赤かった。緊張が自分にも伝わってくるのを感じた。

「私を、…私を、降谷さんのものに、してもらえませんか?」

まさか、彼女の口からそんなことを聞ける日がこんなにも早く来るなんて思わなかった。俺はびっくりしすぎてエンジンの付け方さえ忘れた気がした。

彼女を見るとシートベルトを掴み誘った言葉が恥ずかしかったのか俯いていた。ずるい女だ。

「本気?」
「…ほ、んきです。」
「もう言い逃れできないからな。」
「…降谷さんなら、いいです。」
「君は本当にっ…、」

俺はこんな状況で我慢できるほどできた大人じゃない。そのまま車のリクライニングを下げ、みのりにキスをした。急なことでびっくりしたのか、体は大袈裟に跳ね上がり、甘い声が漏れた。

キスひとつでこんな顔をする彼女は、セックスをしたらどうなってしまうんだろう。考えるだけで下半身の熱が籠るのを感じた。

「ん、ふる、やさんっ、」
「…これ以上のこと、する覚悟はいいか?」

そう言って彼女の胸を服の上から軽く撫でると想像していた膨らみより大きくて正直このままやってしまいたい気持ちが高くなったが、彼女が小さく家でしたいと呟いたため俺は彼女を定位置に戻し急いで車を走らせた。

もう我慢できない。