朝。目が覚めると降谷さんがまだ眠っていた。今日はお仕事お休みだったのかな…あ、ポアロが夕方のシフトに入ってた気がするけどそれまでの時間はあるということなのか、とにかく降谷さんがこうして眠っている姿を見るのはレア中のレアだった。
しっかりとホールドされて動けないし、よく見ると自分が衣服を何も身に纏ってないため一気に羞恥心が増した。少しもぞっと動けば腰と股間にだるさを感じた。もう動かないでいいやと思い、降谷さんを見ると本当に整っていて改めてビックリする。肌荒れとかしないのかな…この人。髪も地毛なのかな、全然痛んでない。布団の中をちらっと見れば昨夜も思った肉体美。この体に昨日抱かれたんだと思うと何だか恥ずかしくなってきた。また顔を見ようと思ったら降谷さんは目を開けてくすくすと笑っていた。
「お、起きたの!?」
「みのりちゃんは布団の中に顔を埋めて何を見てたのかな?」
「ぅ、べ、別に何も見てないです。」
「エッチ。」
「ちが、」
「おはよ、みのり。」
「…おはよう、降谷さん。」
降谷さんは私に触れるだけのキスをして、布団の中から出てしまった。何も見ないようにと布団を被ってたら、その上にバサッと重みを感じた。
「着替え、置いておく。動けそうになかったら呼んで。」
「…うん。」
全くできた彼氏だ。彼が部屋の扉を閉めた後、のそりとベッドから出て立とうとしたとき、寝っころがっていた時よりも腰に激痛が走った。嘘、みんな処女失ったときってこんな感じなの…?私はへにゃへにゃと床に座り込み蹲った。やばい…パンツと上だけでも着ないと…降谷さんを呼ぶに呼べない…折角置いてくれた着替えももはや遠くに感じた。
「ふる、やさ、」
「あ、そういえば朝ご飯何が、…え、みのり!?」
「あっや、見ないでっ…。」
結局何も着てないのに降谷さん入ってきちゃうし、私はもはやそっちを向けなかった。すると降谷さんの足音がゆっくりと近づいてくるのを感じ、私はもはや絶対絶命だった。と思ったのだけど、頭からTシャツを被らされ、へ?と声を漏らすと降谷さんは黙々と無言で私の腕を使ってシャツから腕を通しそのままお姫様抱っこをした。このシャツは降谷さんのものだから長いとは言え、パンツ履いてないしやばい。
「ひゃ!え、まって降谷さんっ私重いし、」
「自分で歩けないくせに何言ってるんだ。」
「パ、パンツ!パンツもまだ履いてない!」
「…そういうことはもっと恥じらいをもって言え。」
「恥ずかしいよ!」
「ハー…とりあえずソファ連れてくから。」
「…はい。」
そう言って降矢さんは私をソファに下ろすと、また寝室へと戻って行った。あああ…パンツを持ってこさせる彼女ってどうなの…。
「パンツも履かせてやろうか?」
「っいい!!自分で履ける!!」
「くくっじゃあはい。」
「…ありがとう。」
「ご飯、フレンチトーストとスクランブルエッグ、どっちがいい?」
「…スクランブルエッグの方。」
「了解。」
降谷さんはそう言ってキッチンに移動した。その隙を見てパンツを履いて、息を吐く。ハー…世の女の子ってすごい。こんな痛みを耐え抜いて大人になっていくんだ。そんなことを呆然と考えていると降谷さんが料理の合間に化粧落としとパックを持ってきてくれた。
「昨日あのまま寝たから。」
「…ああ、そうでした。ありがとうございます。」
「今日は?休み?」
「はい。降谷さんは?」
「俺も夕方ポアロまでは休みだよ。」
「やった〜じゃあ一緒にゆっくりできますね。」
「ああ。一緒に風呂でも入る?」
「ぜ、絶対いや!」
「冗談だよ。でもその体で入れるのか?」
「…入れますよ、たぶん。」
「心配だなあ。」
「降谷さんは疲れてないの?」
「え、なんで?」
「なんでって…だ、だって、するのって結構カロリー消費するって何かのテレビで見たことあるし…。」
「どんな特集だよそれ。…言っとくけど、多分あと10回やっても翌日動けなくなるようなことはないよ。そうだな〜薬飲んで10回とかしたら分からないかもなあ…。」
「…体力おばけ。」
「鍛え方が違うんだよ。はいできた。こっち来れる?」
「…ふぁい。」
私はどっこいしょと言いながら立ち上がった。腰を擦りながらダイニングテーブルに座るとおいしそうなご飯は目の前に広がる。ああ、何て幸せ。
「いただきますっ!」
「召し上がれ。」
「…ん〜!これ美味しい!バターの味付け?」
「そうだよ。」
「はぁ…幸せ。」
「ありがとうな、昨日。」
「ん?」
「無理させただろ。頑なに痛くないって言ってたけど手も震えてるわ涙も出てるわ見てて犯罪者になった気持だったよ。」
「…だって、降谷さんと最後までしたかったんだもん。」
「…ハー…。」
「でも幸せでしたよ?私。こちらこそありがとうございます、降谷さん。」
「…どういたしまして。」
「降谷さんのことだから、どうせ経験豊富だし、私で興奮してくれるのかとか実はすっごい不安だったから安心しましたよ〜。」
「…俺がどれだけ我慢してるか、お前って本当に分かってないよなあ。」
「へ?」
そう言って降谷さんはまたため息をついて、私の頭をくしゃっと撫でた。そんな幸せな朝。