「ありがとう、影山くん。じゃあまた明日。」
「おう。また連絡する。」
「うん、待ってるね。」
私は影山くんと別れた後、直ぐに部屋に入り手も洗わず膝を抱え込むようにして小さくなる。この家に私以外誰もいないのに、声を殺して泣いた。
影山くんの言葉、表情、全部全部嬉しくて今にも声に出してしまいそうなのに、何一つ応えることができなくて、苦しくなる。病気とは違う、苦しさ。
私が普通の女の子だったら、何の迷いもなかった。寧ろ好きな人と結ばれて幸せな人生だった。どうして私は私なんだろう。
「何で、病気なの、わたしっ…、」
悔しくて下唇を噛み締めながら溢れる涙を拭い続けた。
翌日。
「お、おじゃましマス。」
「はい。私しかいないから緊張しないでいいからね。」
「…それが緊張するっつうの。」
影山くんがボソっと呟いた言葉は聞かなかったことにする。私はお茶をだし、リビングで勉強道具を広げる。
「じゃあ今日は数学から始めよっか。」
「おす!」
「先生が絶対出すって言ってところだけマーカー引いちゃうね。」
「あざす!」
「じゃあまずは影山くんはこの問題やっててね。」
「…お、おう。」
またしても1問目から苦戦している影山くんを見て少し笑ってしまった。愛おしい、影山くんを見るとそう感じてしまうんだ。