「影山くん?今日はやめておく?」
「ぐ…あと1問…。」
「うん。じゃあ頑張って。」
月島と違って辻川さんは優しく教えてくれた。おかげで何とかなりそうなレベルまで到達できた気がする。(まだ英語だけだけど)
というか貴重な休日の時間を俺に割いてくれると言ってくれた辻川さんの優しさに甘えて明日約束をこじつけたけど、俺のことを全く男として見ていない気がして少しへこんだ。
あと1問がやっとでき、ふと辻川さんの方を見ると窓の外を向いていて、その姿が凄い綺麗で何かこう今にも消えてしまいそうな感じがした。俺は怖くなって辻川さんの腕を掴んだ。
「え?ど、どうかした?」
「あ、いやわるい。…あ、のできた。」
「あ、そっか。お疲れさま。できてるか見るね。」
掴んだ腕も細くて折れちまいそうだ。長い髪が、ペンをもつ指が、真剣な眼差しが、全部、
「好きだ。」
「…へ?」
「あ、いやあの、間違えたいや言うつもりじゃなくて、」
バカか俺は。口にするつもりなかったのにいつの間にか言葉が出てきてしまった。焦っていると辻川さんは少し頬を赤くして困ったように笑った。
「ありがとう。」
「っ 」
「はい、OKだよ。じゃあ今日はこれで終わりにしよっか。」
「…ああ。送る。」
「大丈夫だよ。家の前までバス停まるから。」
「じゃあそっちまでロードワークするから、行かせてくれ。」
「……うん、」
困らせたいわけじゃないのに、こういう雰囲気になるといつも辻川さんは困ったような悲しい顔をする。だから俺は怖くて辻川さんは俺のことどう思ってるんだ?と聞けない。
俺は逃げているのかもしれない。