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人にご飯を作ってこんなにも美味しいと言って食べてもらうことが、本当に久しぶりで。すごくすごく嬉しくて思わず涙が流れてしまった。昨日あれだけ泣いたのに、涙は枯れることを知らない。

「ごめん、ちょっと顔洗って来るね。」
「……。」

私は席を立ち、洗面台に向かう。しっかりしないと。私は顔を洗ってリビングに戻った。すると影山くんはキッチンに移動していて、カレーをよそっているところだった。

「あ、ごめんねやらせちゃって。」
「勝手にやってわるい。」
「ううん。温玉今だすね。」
「あざっす。」
「…影山くん、いっぱい食べてくれてありがとう。」
「おう。」
「私、ずっと1人だったから、うちで誰かが美味しいって言って食べてくれるのが久しぶりで。ちょっと感極まっっちゃった。」
「…いつでも俺が食いに行く。辻川さんが飯作りすぎたときとか、寂しくなったらいつでも呼べ。1人で泣くな。」

もう、やめて。あまり優しい言葉を掛けられるとまた涙が流れそうになる。私はぐっと堪えるように顔を背き、椅子に座って水を飲んだ。

影山くんも何も言わない私に声を掛けずカレーを食べた。私もまだお皿に残ったご飯をゆっくりと食べた。


「ごちそうさまでした。」
「おそまつさまでした、片づけやっとくからちょっと休憩してからまた再開しよっか。テレビとか勝手につけていいから、好きにしてて。」
「…おう。」

私はキッチンに立ち、洗い物を始めると影山くんはキョロキョロとしてこちらに戻ってきた。

「どうしたの?」
「あ、いや何か俺普段テレビ見ねえし何すればいいかわかんねえから手伝いさせてくれ。」
「…ふふ、じゃあこれ水洗いしてくれる?」
「おう。」

影山くんとこうやって並んで洗い物をするなんて、数年前の私は想像もしなかっただろう。コートを離れた影山くんは、年相応の男の子で綺麗とかそういうのじゃなくて優しい男の子だ。

本当にこの人が、大好きだ。