「失礼しま〜、」
「おい辻川!何で連絡返さないんだよ!」
「…あーえっと仲良いよ?」
「おま、くそっ…。」
「え、何?」
「…別に。」
「それより武田先生は?」
「も!う!す!ぐ!く!る!」
「…何怒ってんのさ。」
影山が何に対してイライラしてるかいまいちわからないけど、いつも見てるサーブより気持ちが荒れてる気がした。
私はバレーはわからないけど、影山はやっぱり天才なんだろうなって思う瞬間がある。中学時代は孤独の王様、周りを圧倒させない絶対的な存在。そんなイメージがあった。だけど練習中、いつだって影山の周りには誰かがいて、その中心で試行錯誤しながら上を目指している影山は、私が知っていた王様ではなくなっていた。
「おい。」
「ん?」
「帰り。…いつものところ。」
「うん。分かった。」
「影山ー!ラスト頼む!」
「おう!」
私は武田先生が来たのを確認して、体育館を後にした。練習は裏切らない、無駄じゃない。わかっているけど、私には仲間がいない。
影山が途端に羨ましく見えた。
「悪い、待たせた。」
「いーえー。明日だっけ、練習試合。」
「おう!」
「いいね、ファイト。」
「おう。辻川は明日部活か?」
「うちは休み。」
「別のクラブチームの練習行くのか?」
「あー…明日はそっちも休みだから1日家にいる予定だよ。」
「じゃあ試合、見に来いよ。」
「…は?」
影山があまりにもドヤ顔で言うもんだから、思わず引いてしまった。直後影山に頭をぐりぐりとされたけど、こうやって試合を見に来いなんて言われたのは初めてだった。
「いいからこい!」
「えーめんどくさいじゃん。暑いし。」
「おまえ、」
「でも影山のバレー、久しぶりに見たいし気が向いたら行くね。」
「…おう。待ってるからな。」
「はいはい。頑張って。」
少し明日を楽しみにしている私がいた。