「失礼します、」
「おう。」
「あれ、影山1人?」
「今日日向の妹誕生日らしくてあいつ早く帰っちまった。」
「そっか。…あ、っと武田先生は。」
「20時に来るって。」
「…あと5分か。」
「時間あるならボール上げてくれ。」
「え、ああいいけど。」
告白されているところを見てしまったけど、影山は私が見ていたことなんて知らないから普通の態度を取ってくるのは当たり前だ。だけどさっきあんなところを見てしまっては少し意識せざるを得なかった。
私は山なりにボールを上げると影山の綺麗なフォームからセットアップされる。近くで見ていて惚れ惚れするトスワークだ。
何本か上げていると、武田先生が到着し私は第二体育館へと移動した。今日は事前に約束してなかったけどいつも通り影山を待っていると、影山も当たり前のように私の横を歩いた。
「…お前何かいつもと違くないか?」
「え、」
「もしかして昨日のこと気にしてんのか?」
「昨日のこと…ああ、忘れてた。」
「はあ?」
「私寝たらすぐに忘れるタイプの人間だから。」
「…じゃあ何考えてるんだよ。」
「…影山くんは何で変なところ感が利くんですか。」
「ああ?」
何で影山にはわかってしまうんだろう。1番ばれたくないのに。私は徐に石を蹴りながらだらだらと歩いた。
「言わなきゃわかんねえ。俺は及川さんみたいにすぐ人の気持ちわかるくらい器用じゃない。」
「…知ってる。」
「だから何か思ってるなら言え。」
「…影山、今日告白されてたでしょ。」
「!?おま、見て、」
「うちのクラスの佐藤さん。可愛いって有名。断っちゃってもったいない。」
「……、」
「私、影山の相棒になった覚えなかったけど?」
「っ…!盗み聞きなんて卑怯だ!」
「ごめん。気になっちゃって。」
「…何で、気になるんだよ。」
「何でって…。」
何でって、何で?
影山に恋人ができても私たちの関係が変わることはないだろうけど。もし誰かと付き合ったらと思うとモヤモヤしてしまう。これってもしかして、
「もしかして、私影山のこと好きなのかな。」
「っハア!?」
「あ、いやごめん。まだわかんないんだけど、」
「おま、そういうことはちゃんと自覚してから言えよ!」
「あーそうだよね。ごめん、聞かなかったことにして。」
「ふ!ざ!け!る!な!」
影山はすごく焦っているようで、また私の頭をぐりぐりと押さえ付けた。私はその手をギュッと握ると、暗くて表情こそ分からなかったけど影山の体が一瞬固まった。
「影山ってさ、」
「な、なんだよ。」
「…影山って、」
その時、月明かりで影山の顔が照らされた。顔を真っ赤にさせた影山の表情に私は心を打たれた。心拍数が早くなっていく気がする。
「辻川?」
「っあ、いやなんでもない!あーもう影山が変なこと言うから変な空気になっちゃったじゃん!」
「はあ!?俺のせいかよ!」
「そうだよばーか!可愛い女の子に告白されたからって調子乗ってんじゃないよ!」
「調子乗ってねえ!あ、おい辻川まてこらあああ!」
私は走って走ってこの場から逃げ出した。影山のことが、好きかも知れないなんて、認めない。