完
バレー部が負けたと聞いた。
影山からは【約束守れなかった。】とだけ連絡が入っていて、私は次頑張ろうと月並みの言葉でしか返信ができずに月曜日を迎えた。
バレー部はさすがに朝練が無かったらしく、教室に行くといつもは私より遅く入ってくる月島君が既にいた。
「あ、おはよう。」
「…はよ。」
「バレー部、残念だったね。」
「…まあ、相手は去年の2位だし仕方ないんじゃない?」
「…月島くんって勝つ気ある?」
「はは、王様にそっくりなんだね、みのりさんって。付き合うと似るってわけ?」
「…何となく影山があんたのこと嫌いな理由はわかったわ月島。」
「そりゃどうも。」
話しかける相手を間違えたな。そう思い、私は席に戻り携帯をいじる。今日お昼一緒に食べないかと影山を誘うものの、昼はボール触りたいと言われやんわり断られてしまった。
でも、気持ちは分かる。私もそうだったから。
負けた後って、人に会いたくない。きっと今の私は先日の影山と同じ状況なんだろうな。無理に会う必要もない、か。
「あ、ねえ。」
「…ナンデスカ。」
「王様は単細胞だから、一晩寝たらそれなりに立ち直ると思うけど。」
「……。」
「誰かさんもそうなんじゃないの?似たもの同士だし。」
月島に言われなくても分かってる。そりゃあね、もちろん試合の反省とかはするけど、翌日にまでどんよりとしたテンションを私だったら持ち込まない。それに、翌日には…影山に、会いたいとか、思ってた。
影山も同じ気持ちなのかな。そう思って、私は今日の練習後にいつも通り会いに行く決意を固めた。
*
「何か、緊張する。」
練習後の自主練が終わり、先生に鍵をお願いするのにバレー部がいる体育館まで移動してきた。いつもの扉が、少し重い気がした。私は息を吐き扉に手を掛けたその時、中から扉が開けられ私は思わず体が傾くと目の前にいた人が体を支えてくれた。
「あ、すみませ、」
「何してんだバカ。」
「か、影山!だって急に扉開くから、」
「…こっちはいつもより遅いから心配してそっち行こうと思ったっつーのに。」
「…ごめん。」
「…別に謝ることねえけど。」
シーンと謎の沈黙が流れると、中から先生が出てきてくれた。先生は、みのりさん終わったんだね〜そっち施錠してきちゃうね〜と体育館から出て行ってしまった。私は影山に外で待ってるとだけ伝え、その場を去ろうとしたけど腕を捕まえれてそうすることができなかった。
「え、な、なに?」
「…負けた。」
「あ、うん。聞いた。」
「けど俺はもう負けねえ。今よりもっと強くなって、春高、オレンジコートに立つ。」
「…うん。いいね、私もね、バドミントンは緑コートがあってね。そこに行くのが今の夢。」
「おう。」
「一緒に行こうよ、色コート。」
「ああ。」
私たちはニッと笑ってハイタッチをした。
競技も違ければ性別も違う。だけど私たちは似たもの同士の最強の相棒だと自信を持って言える。
いつか二人で、世界を背負う未来が来ると信じて。