fin


そういえば勝己くんっていつから私のこと、好きでいてくれたんだろう。
久しぶりにお互いのオフが被り何をするでもなく部屋でだらだらと過ごしているときにふと頭過った。告白してくれた時もずっと前から、と言ってくれたしこの間もやっちゃんはモブで私はそうじゃないと言ってくれたのは鮮明に覚えている。
聞いたら、教えてくれるかな。

「視線がうぜえ」
「……気が付いちゃいましたか」
「映画見ねえなら消しとけ」
「ん〜…勝己くん、筋トレひと息ついたの?」
「まあ」
「コーヒー淹れる?」
「いや、プロテイン」
「ほうれん草のやつ?私作るよ!」
「おう」

いつものプロテインを慣れた手つきで作るけど、心の中ではさっきの疑問がぐるりと目回る。その姿は勝己くんにバレバレだったみたいだ。

「はいっ」
「さっきから考えてること全部喋れ」
「え!?あ、えと」
「バレバレなんだよ。いいから話せや」
「……話したら教えてくれる?」
「内容による」
「う…あの、勝己くんは、いつ好きになってくれたのかなあって思って…」
「…………」
「うわああそんな顔しないでよっ!」
「…まずは自分から話せや」
「へ?」
「社会人の基本だろ。自己紹介は自分からって」
「……ずるい、」

ずるいけど、どうしても知りたくなってしまった。
私は勝己くんの座るソファの隣へ寄り、その時のことを思い出した。

「…私は、いつっていうのは正直分からないけど…やっぱり不器用ながらも優しくしてくれたことが積み重なって好きだなって思うようになったよ」
「……そうかよ」
「うん。で、勝己くんは?」
「……俺は、」

初恋は実らない、って思ってた。
そういった勝己くんに私は驚きが隠せなかった。

「え、初恋って…」
「……てめえが図書室で本読みふけってるとき、俺は見てたんだよ」
「ええええ!」
「まあクラスも委員会も同じになったことなかったし当時の俺はプライドの塊だったから自分から声かけるとかできなかったしな。3年間見てるだけで終わったんだよ」
「そ、そんな、……気が付かなかった、よわたし…」
「だろうな。まあいい、今ここにてめえがいる。つまり、」

初恋は実らないという理論は嘘っぱちだ。
その言葉に私はにこりと笑った。



fin.