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生まれ持った超常的な力“個性”を悪用する敵に立ち向かうべく、同じく“個性”を持つ者たちが“ヒーロー”として敵や災害で人々を救ける社会が確立されていた。
ヒーローこそ正義、ヒーローは讃えるべき存在だと両親に教え込まれた私は雑魚個性の持ち主だけど小さい頃はヒーローになりたい!という強い気持ちを持っていた。だけどそれは直ぐに現実的ではないのだと知り、悔しがることも無くじゃあ私はヒーローオタクになる!と言って小学3年生からヒーローノートなるオタクノートを作り、日々ヒーローの分析をしていた。
親も熱心にノートに書きまとめる私を見て偉い偉い、と褒めていたけどそれは徐々に悪化していき、お正月に貰うお年玉は全てヒーローのグッズを買い占め、高校生になりアルバイトが出来るようになってからはもう酷かった。毎週ヒーローイベントがあればどこにでも飛んだし、どこかで災害があれば不謹慎だけど騒がない程度にヒーローを見に行ったりもした。もういっそ私も事故や事件に遭遇したいし、出来ることなら人生で一度でいいからホークスとお空の旅に出たい。いや、マウントレディの肩に乗るのもいいな…。

「みのり!!もう!魂どっかいってる!」
「ハッ……ごめんごめん、ついヒーローのこと考えてたら…………」
「もう、あんたほんっとヒーロー好きだよね?あんなの彼氏にしたら最悪だよ?デートも連れてってくれないし人助けだなんだって私のこと二の次だし!」
「あみちゃんが付き合ってたのはヒーロー活動2年目のセロファンだもんね、3年目はまだガムシャラにやる時期だし仕方ないよ……というかチャラチャラしてそうなのに彼女よりヒーロー活動優先してるところ私としては超好感もてるんだけど、やっぱりビルボードチャートにインするにはもう少し」
「あーわかったわかった!」

あみちゃんに言葉を遮られ少し悔しかったけどなんやかんやで私のヒーロー話に付き合ってくれるから優しいなとは思う。空になったハイボールをタッチパネルで追加し話題はどんどん加速する。

「で?その最近の一推しがそのクソダサい名前の…なんだっけ?」
「大爆殺神ダイナマイト!!」
「だっさ…いや小2かよ……」
「でも本人はすごいんだよ!?爆破って個性だけでもうなんかクレイジーだけどそれは本人もそうで!それを使って空中移動したり高速で稼働したりね!ただ敵に直接当てるだけじゃないの!閃光弾も打てるし何より派手でかっこいい!あとマスクで顔は隠れてるけど多分イケメン!すごくない!?今年のビルボードも新人ながらにランクイン果たしてるし多分来年にはベスト10に入るんじゃないかなぁ!」
「へ〜、てか範太と同じ高校出身のバクゴーでしょ?話聞いたことあるけど性格悪そうだよ」
「やめてっ!そういう情報はいらない!夢見させて!あ、いやでも元々ダイナマイトのヒールっぷりは有名なんだよ?いつも市民のことザコどもって言うし避難誘導も邪魔ださっさと行け!とからしいし…それでも評価されるって相当光るものがあるんだろうなぁ〜……あーー直接お姿拝見したい〜〜!!あっでもね、ダイナマイトってぜんっぜんイベントとかは参加してくれなくてね、去年やった事務所のファン感謝祭も参加はしてたらしいんだけど借りてきた猫みたいだったんだって!猫!ダイナマイトが!あー見てみたかったなぁ〜今年もやらないかなぁぁ!」
「……ほんと、喋らなきゃ男受け良さそうなのに勿体ないなぁ」
「え!?あ!あみちゃんが好きそうなヒーローはね〜、」

この後も淡々とされるヒーロー話題に花を咲かせ、それは終電ギリギリまで行われた。