早くくっつけよ(爆豪) ※微妙に本誌ネタ注意
ただ爆豪は強さを求めて自分の限界を何度も越えて強く、誰よりも速くてっぺんにいこうとしていた。その後ろ姿に私もだいぶ感化されたりして、ああ、もう辛いな、今日はサボって70%でやろうかなと思ってもでも爆豪なら…と考えてしまって結局100%、いや120%でやり遂げてしまうんだ。
それはきっと私だけじゃない、A組のみんながそうなんだと思う。爆豪が戦闘の上では私たちを信頼してくれてるのはもうだいぶ前から、……うん、明確に感じたのはB組とのチーム戦だったろうか。ああ、今でも切島と顔を合わせて笑って拳をぶつけたことを思い出す。
だからこそ、あの時緑谷への謝罪がみんな緑谷と同じくらい胸を打たれたはずだ。あの爆豪が、ーーでもようやく来るべき時がきた。そんな気持ちでいっぱいだった気がする。こっそり涙が流れたのは誰にもバレてないだろう。
「ばくごー」
「んだよ」
「サインちょうだい」
「あ?何言ってんだテメー」
「だって絶対大物になるじゃん」
「たりめーだろ、俺はナンバーワンになる男だぞ」
「だよね〜だから先にサインもらっとこうかなぁって」
「……テメェも目指してんだろうが」
「いやナンバーワンは目指してないよ。ただ困ってる人を助けられるヒーローになれたらなぁって思ってる」
「……そうかよ」
つーかンでこんなとこテメェといんだよ、と突っ込まれた私たちがいるのは雄英の中でもあまり人が寄り付かない旧図書館。なんで、と言われたら理由は昨日の夜のこと。
『辻川、お前このまま言わないでいいのか?』
『うっ…でも多分言ったところでンなこと言ってる暇あったらトレーニングやれやって絶対言われるじゃん!』
『………まあ否定はできねえ』
『でもなぁ、最近の爆豪の女子人気すごいの辻川だって知ってるっしょ?』
『……知ってる、し、別に…爆豪が例え選んだ人なら私はそれで……』
『よく言うわ!』
『それな』
『辻川!男らしくねえぞ!』
『女だもん!ハァ、もーーいっそこの気持ちごと無くなればいいのに……』
『そんな悲しいこと言うなって。A組初めてのカップル誕生かもしれねーんだからさ〜』
『………期待してるところ申し訳ないんだけど無理だって』
切島、上鳴、瀬呂に日々相談をしていた。私が爆豪のこと好きだと自覚したのは文化祭の頃。あの時私はダンスを担当していたんだけど生理2日目とぶつかってしまい体調が最悪の中臨み案の定幕を引くと同時にぶっ倒れてしまった。その時に助けてくれたのが爆豪で保健室までおぶってくれたらしいのと目が覚めたら待っててくれて寮までおんぶされて戻った時はみんなに冷やかされたのが最早懐かしい。だけどそこから意外にも大きな背中とか温かい体温とか不器用で優しいところとか…爆豪の些細なことにキュンとする様になってしまって、馬鹿みたいに意識し始めてしまったのだ。
それを瀬呂にバレて、上鳴にバレて、切島に報告するようになって…応援すると言ってくれたのは素直に嬉しかったんだけどいざとなると何も行動が出来ないまま冬は訪れ、春となり、緑谷の事件があって、ようやく私たちの学生生活に落ち着きを取り戻した頃の事だった。
『俺昨日も見たぜ、爆豪が告られてるところ!』
『あー経営科のやつだろ?なんか街で親が助けられたとか言ってたな〜』
『俺もその現場いたんだけどよぉ、爆豪の反応速度はやっぱすげーよ!なんかあいつ、エンデヴァーのところでインターンしてから確実にレベル上げて来たよなぁ!』
『結構可愛い女の子だったぜ?』
『うーーー』
『旧図書館に人がほとんど行かないって知ってる?明日の放課後、そこに爆豪呼び出してるから頑張りなさいよ』
『は!?』
『瀬呂ナーイス!』
『ちょ、何話せばいいの!』
『別に何でもいいじゃん、普通にいつも通りだよ。んでいい雰囲気になったら女意識させるようなこと言えよ』
『そうだな〜好きな人いる?とか聞けばいいんじゃね?』
『そんな簡単に…!』
『せっかくあげたチャンス、無駄にすんなよ』
▫︎
「なんで、でしょうねえ?」
「あ?つーかしょうゆはいつまで待たせんだよ」
「あーー…………」
「………テメェ、何か知ってんな?」
「へ?いや、いやいや?何も知らないけど?」
「怪しすぎんだろ、なんだよ話せ」
「いやーー……なんて言うか、瀬呂は来ないんじゃないかなあというか、」
「ハ?じゃあここいる意味ねえだろ、………帰んぞ」
あ、やばい。爆豪は窓辺に腰掛けていたけど立ち上がってしまう。このままだと本気で帰ってしまう、ーーー何もないまま。
このままでいいんだろうか、……せっかく瀬呂たちがくれたチャンスなのに。今を逃したら卒業するまで、いや卒業してからも私にチャンスなんて無いんじゃないだろうか。
「ば、爆豪!」
前を歩く爆豪の腕を掴んで情けない声で名前を呼べばくるりと後ろを振り返りその赤い瞳と目が合う。なんだよ、と言いたげなその目は不機嫌では無く私の言葉を待っているようだった。
「あの、あのね!私爆豪に聞きたいことあって!」
「……んだよ」
「えっと…爆豪って……、好きな人、いる?」
「……………」
「あ、いや、何か爆豪とそういう話したことないな〜って思って!ははは!それにこの間も経営科の可愛い女の子から告白されたって上鳴言ってたの聞いちゃって!なんか気になるな〜とか思っちゃって!爆豪、黙ってればカッコいいしさ!最近女の子からの株も急上昇らしいじゃん!?それで、」
「俺に好きな女がいたとしてテメェが知る必要ねえだろ」
「あ………、う、ん……だ、だよね……」
「……………」
「ごめん、変なこと聞いて、……忘れて?」
ガツーン、動機で殴られたような感覚。
好きな人いる?→いねえ
好きな人いる?→バカなこと聞いてんな
好きな人いる?→くだらねえ
勝手に3つの中のどれかかななんて想像してたけど想像の上をいく回答。私には知る必要がないーーつまり恋愛観に置いて爆豪は私と情報を共有する気がなかった。なんだこれ、告白も前に振られてるようなものじゃん。
「腕離せ」
「あ、ごめん」
「………あーもううぜぇ!んだその情けねえ顔!」
「え」
「テメェが言いたいのはそんなことじゃねえだろうが!」
「な……、んのことだろう…」
「あ?周りっくどく俺に好きな奴がいるか聞いたりするくらいなら俺のこと好きだから付き合えくらい言えや!!」
「は、はぁ!?なに言って、」
「俺ァテメェ1人おぶって戦うことくらい簡単なんだよ!だからテメェもはよ覚悟決めろや!」
「っ……ば、爆豪!わたし…わたしね!爆豪が大変な時、私が1番に支えたいと思ってるし助けたいと思ってる。それはヒーローとしても、そうじゃない爆豪勝己としてのときも!」
「つまり?」
「つまり!私は爆豪のことが好きです!!」
言ってしまった。いや、言わされてしまった。でも不思議と後悔はない、これで断られてもスッキリと次に進めそうだ。でもやっぱり爆豪の顔を見るのは恥ずかしさもあり耐えきれず目を逸らしてシンとなるこの無音状態に耐えられずまた無駄口を走らせようとしたその時、すっと爆豪の腕が私の頭に伸びる。そのままガシッと掴まれ無理矢理顔を上げさせられると意地悪そうなニヤつき顔と目が合う。私はきっと顔を真っ赤にさせてるというのにずるい。
「俺を守るだ?言うじゃねえか」
「っ…………」
「仕方ねえから俺のもんにしてやる」
「……ん?」
「だから俺がテメェの面倒もみてやるっつってんだよ!」
「……つまり?」
「だーーつーまーり!俺もテメェが!」
好きだ死ね!!!!!!!!!!!!!!
…………好きだ、死ね?