完
爆豪くんと付き合い始めてから1ヶ月が経った。だけどわたしは変わらずにヒーローオタクをしている。
「はぁぁ…かっこい〜…………」
「………………」
「あ!ねえここ!これ!見て!爆豪くん!今のファットガムめっちゃかっこよすぎる〜!」
「別にプロなら出来て当たり前だろ」
「あー!!きたきたー!!!!!烈怒頼雄斗ーーー!!!!」
「……あいつ、最初から飛び込んで行くなっつーのにまだやってるんか」
「でもここ!今回壁を越えるのにレッドラの硬化で!ほら!ほらーー!!かっこいいい!!」
「…………別に、飛べば一瞬だろ」
「わーー……すごいなぁ、」
爆豪くんの家でもヒーローニュースがやっていると飛びついて見る私に若干引いているようだけどこれは趣味だから仕方ない。爆豪くんのことなどお構いなしにノートを開いてメモを取っているとダイニングテーブルにいたはずの彼がどすんとわたしの座っている床の後ろにあるソファに座る。足で挟まれる形になったので身動きが出来なくなるけどもはやこの程度でビクつくようなわたしではない。
それくらい爆豪くんと近距離でいることに慣れ始めているのはいい傾向なんだとは思う。
「爆豪くん、夜何食べたい?」
「あー………この間のうまかった」
「角煮?えへへ嬉しいな。じゃあそれと何か作るね」
ヒーローニュースも終わったのでわたしは立ち上がろうとノートを閉じるとそのまま爆豪くんに手を引かれて体重が後ろに傾れる。分かったことがある、案外爆豪くんは家だと甘えたがりなのだ。ひとりっ子って言ってたからそれも理由にあるのかな?なんて思ったり、とにかく世間的な大爆殺神ダイナマイトファンはびっくりする事実だった。
「爆豪くん、ご飯作らないと」
「……別にいいだろ、まだ腹減ってねえわ」
「でも角煮ほろほろにするなら今から作った方が美味しいよ?この間も5時間おいたんだもん」
「……仕込み10分で終わらせろや」
「えええ、無茶振り……でも急ぐね!爆速ターボ!」
「やめろ」
鼻歌を混じれながら先日の残ったお肉のブロックを軽く温めてから切りお鍋に入れる。味付けの調味料を出していると1本の電話が部屋に響き渡る。直ぐに爆豪くんが出たから恐らく爆豪くんの携帯だったのであろう、わたしは気に留めることなく料理を続けているとおい、と声をかけられた。
「ん?」
「仕事入った、わりいけど帰りの時間わかんねえ」
「……うん、待ってるね!」
「速攻で終わらす」
ああ、すみません。世界中の大爆殺神ダイナマイトファンの皆様。
自宅からその姿になってベランダから出て行く姿を見れるのは恐らく今の時点では私だけなんだろう。そりゃね、大変な現場に向かう彼を見送るのは怖い。心配にもなる。だけどそれを言葉にするのは彼にとって余計なお世話であって無意味なこと。
だって大爆殺神ダイナマイトは負けないんだもん。
「ばくご……大爆殺神ダイナマイト!」
「あ?」
「今日も1番かっこよくて最高のヒーローだよ!いってらっしゃい!」
「ハッ、ったりめーだろ。俺はナンバーワンヒーローになる男だ」
END.