ツキが生きている。
という確信とも言える疑念を抱いしばらくが経った。
相も変わらず忙しい日々を送っているが、時折時間を見付けてはアイツの情報を探るものの、何も情報はない。
しかし、それでもやはり死んでいるとは思えず、全身の全ての細胞がツキは生きていると信じきっていた。
暗部に情報を探らせることも考えたが、死を偽装してまで潜伏しているのだとしたら、それはツキの意志に反する行為に当たるので断念した。
我ながら、昔からツキに甘いのは変わらない。
── コンコン
不意に、窓を叩く音がした。
振り返ってその音の主を見付けて目を見開く。
見覚えのある鷹が、足に文を括り付けてこちらをじっと見詰めている。
急いで立ち上がり、その文を取ると、そのままその鷹は空高く飛び立ちすぐに見えなくなってしまった。
アレは、ツキのだ。
やはり生きていた。
と、確信が事実に代わり年甲斐もなく心が燥ぐ。
あの子が届けた文を開くと、そこにはただ一言。
『必ず戻る』
と、記されている。
その字は慣れ親しんだアイツの字そのもので。
ふわりと香って紙の匂いもアイツのそれだ。
差出人はないけれど、私には分かる。
「早く戻りやがれ、大バカが…」
言いたいことは山ほどある。
話したいことも山ほどある。
帰って来たらぶん殴って、山ほど文句を言ってやる。
それまでは、大人しく待っててやろう。
そう思って、小さな紙を大事に折り畳んだ。
「綱手様、見慣れない忍鳥が確認されたと報告が…」
「ああ、私の知り合いだよ。気にするな」
「……何か良いことでも?」
「さてね…」
早速、あの子の事を報告しに来たシズネをはぐらかし、折り畳んだ文を胸元に隠す。
「…?」
「とにかく、あの子のことは気にするな」
「は、はぁ」
今夜は祝い酒でも飲んでやろうか。
いや、はしゃぎ過ぎか。
( 綱手様の機嫌が良くて逆に怖い )