※大学生設定、既に付き合ってる。【隣の席】の主人公が付き合ったらの話です。
「翔一くん、おかえりなさい」
私は玄関のドアを開けて、彼を出迎えた。
「あーなまえ、家来てたん」
「うん。バイト先から翔一くんの家近いから寄っちゃった」
「……」
「ご飯一緒に食べたくて。
料理作って待ってたんだ」
ん?……翔一くんからすごく視線を感じる。翔一くん嫌だったかな?確かに、何も言わず手に家に来て、ご飯作ってって私すごく迷惑なことをしているかもしれない。浮かれちゃって、全然そういうの考えてなかった。次からは気をつけなきゃ。
「いつでも来ていいって言ってたから来たんだけど…やっぱ迷惑だよね。次から連絡「え、普通に嬉しいんやけど。 逆に毎日来てほしいくらいやわ」
「本当?それなら良かった。 あ、でも今度来る時は何作ればいいか分からないから連絡ちゃんとするね〜」
いやでも今日の翔一くん、言葉少なな気が。何考えているんだろう。彼の顔をじっと見てみるが、やっぱり読めない。翔一くん、私みたいに顔に思ってることでないタイプだし、自分の思っていること隠すの上手いからなぁ。でもさっき、私が家に突然来たことについて嫌って言ってなかったから不快にさせてないよね……それならいっか。私は考えることを放棄した。
「今日ね、野菜たっぷり肉うどんを作ったんだ〜すぐ食べれるように用意してあるよ」
「……」
「もう食べる?」
「……食べよかな」
「分かった。用意するね」
私はキッチンに向かった。麺を茹でている間に具とスープを温めなおして、それらを器に入れれば完成だ。彩りよく、作った本人がいうのもあれかもしれないが、とても美味しそうだ。
「できたよー」
翔一くんを呼び、運ぶのを手伝ってもらうことにした。ダイニングテーブルにうどんと箸を運び、いざ実食である。うどんを啜る。うん、美味しい。料理の女神が舞い降りてしまったのかもしれない。翔一くんはどう思ってるか知らないが、個人的には満足のひと品である。
「なまえは本当料理上手やなぁ」
「良かった」
「ほんまなまえに毎日来てほしいわ〜」
にこにこと笑いながら翔一くんは言う。 ん?ついさっきもその言葉聞いたような気が。
「え、でも私が実際毎日来たら
さすがに鬱陶しく……」
「ならんで」
間髪入れずに、翔一くんは返事した。
「えー、本当?」
冗談半分といった感じだろう。私は聞き流そうとした。でも、繰り返し言っているということは本気だったりするのだろうか。ちらっと翔一くんの顔を見た。あっ…
「なまえ、どうしたん?」
「さすがに、私毎日は無理かな」
「知っとるよ〜」
「そうだよね」
私は残りのうどんを啜った。うんうん、きっと私の勘違いだ。あの時、翔一くんの目が笑っていなかったような、笑っていたような――
「本気やで」
翔一くんがあまりにもあっけらかんと言うものだから、私はぶふぉっとうどんの麺を噴き出しそうになった。
「なまえ、薄々気付いとったやろ?」
「うっ……」
こうやって時々痛いところを突いてくるのが、翔一くんである。
「だから、合鍵渡したんや。毎日とは言わんけど、いつでも好きな時に来てな」
「分かった」
そういうことか。良かった――私が安堵の息を吐いてから束の間。聞こえるか聞こえないか分からないくらいの声で翔一くんは言った。
「変な虫、つかれても困るし」
「……」
「あ、もしかして聞こえとったぁ?
堪忍な」
翔一くん今凄く悪い顔してるよ。わざとってこと私知ってるんだからね。