見えない顔 「ううー……」 お昼前。僕は風邪を引いてしまったのだけれど、それでも仕事のために今日も精神病院で働いていた。 ……だけど、あまりにも体調が悪化してきて。院長が気遣ってくれて、僕は早退することになった。 「へっくちっ!うう……病院まで遠いから今日はちょっと辛いかも……。薬局で買ってこう……。」 フラフラした足取りで、僕は薬局に向かった。 薬局。 僕は鼻をずびずびさせながら、よく回らない頭で薬を探す。 ……ああ、駄目だ。何も考える気になれない……。だいぶ重症。 僕は仕方なく、薬局にいる薬剤師さんに相談することにした。 「すみません……風邪に効く薬を探しているんですが……。」 「風邪ですか、どんな症状があるのか教えて下さい……」 一見不気味なオーラをまとった中年男性といったところだろうか。まあそんなことはどうでもいい。 僕は風邪の症状を具体的に話した。 「成程……。ではこの薬ではどうでしょう……フフフ」 彼は不気味な笑いを漏らしながら僕にある薬を勧めてくる。 その薬はパッケージは普通なものの、薬のイラストは濃い紫色の少し怪しそうな色をしていた。 少し不気味さを覚えたが、薬剤師が言うんだ、見た目が悪いだけでもちろん何の問題もないだろう。 「じゃあ、これください……」 「はい、ありがとうございます……フヒヒ」 会計を済ませ、薬局をあとにする。 「ありがとうこざいました……ゲホゲホ」 「いえ……お大事になさってください……イヒヒ」 彼は不気味な顔で笑い、見送ってくれた。 「ただいまぁ……。」 ……とは言うも、夢華は仕事の為今は教会に居る。つまり僕は今1人。 手を洗い、うがいをして水を用意し買ってきた薬を開封する。 ……やっぱりどう見ても怪しそうな薬。 でも風邪は凄く辛いから、一気に飲み干した。 それから寝室に行き、しばらく寝ることにした。 「んん……。」 すっかりあたりが暗くなった頃、僕は目を覚ました。 薬が効いたのか、とても楽だ。 「あー…… 楽っていいねぇ……。でもまだ、安静にしてなくちゃいけないけど!」 とりあえずお腹すいたなあ。 そこに。 「おい兄貴。飯食えんの?」 夢華、お兄ちゃんのこと心配してきてくれたの……?!嬉しくて飛びつきたいけど流石に妹に風邪を移してしまうのはまずいから自重した。 「ああ、うん!僕ちょうどお腹すいちゃっ……」 言いながら顔を上げる。 ……あれ? 妹の顔が見えない。 黒く塗りつぶされたみたいになって、 ……なにがどうしたんだ? 「おい兄貴、どうしたのさ」 愛しの妹の顔を思い出そうとするけど、 あれ、 妹の顔って、どんなんだったか。 |