序章 永遠に共に歩めたなら

序章 永遠に共に歩めたなら



蘭(あららぎ)翠蓮(すいれん)は、普通の女の子になりたかった。

普通の家に生まれて、普通な環境で育ち、普通に学校に行って、普通に友達を作って、遊び、普通に恋をして、温かい幸せな家庭を作りたかった。

でもそれは叶わない。

自分の実家はヤクザで、自分は一人娘で、跡取りで、『普通の恋』なんて出来やしない。

『友達』なんていうものも、作っちゃいけない。
どうせまた傷つけてしまう。

でも、翠蓮には愛おしい男がいた。
下っ端の、自分の身の回りの世話をする少し年上の彼を翠蓮は愛していた。

でも、この恋は口にしちゃいけない。

自分は他人を傷つけてしまう人間なのだから……


でも願いが叶うのなら、
貴方と永遠に共に歩んでいきたい。



ーつづくー

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