yosomi


めちゃくちゃな展開






子供と話すトーンとは違う大人だけの会話。毎朝のことだった。聞こえてくる内容は大人の話。
幼いながらも知っていた、こう言う時は何も言わない。子供は黙って食う。大人には大人だけの何かがある。基本は親父の仕事の話、子供が聞い たって分かりっこない、自分に関係ない話に興味はない。もし必要なこと だったら、ちゃんと言ってくる。

いつも通り、いつもと同じ朝。当たり前の日常。

何の変化も無く、飛び交う会話に耳は傾けながらも反応はせずに食を進めていた。
その日のおかずは確か鮭だった、少し、いつもより骨が多いそいつに苦戦していた時。ふと自分に向けられた声。
いつもの様に大人の間だけで済むと思っていたその話に、まさか参加することになろうとは思ってもいなかった為、親父の言った言葉は一度では理 解できずに聞き返す。



「え・・・・?」

「だから、お前も一緒に来るか?」

「どこに?」

「火影様のところに、だよ。なんだ、今の話聞いてなかったのか?」

「うん、鮭にしゅーちゅーしてた」

「あら、シカマルの鮭骨が多かったかしら?」



そう言って母ちゃんは自分の手元で鮭をほぐしてくれた。あらほんと小骨が多いわねえとか言いながら。なんだ、いつもなら何もしないくせに、やけに機嫌が良い、



「で、ほかげ様のところに何しにいくの?」

「迎えに行くに決まってんだろーが」

「むかえに?だれを?」

「はあ??誰って、、、。んあ!まさか母ちゃん、シカマルに話してないのか?!」

「話してないよ、だってこの間あんたが話しておくって言ってたじゃないかい!」

「げ、そうだったか?記憶にねえな・・・もうてっきり母ちゃんが伝えてると思ってたのによお」

「あんたあの時任務から帰って早々お酒飲んでたから・・・」

「あちゃーー。そうだった、なーんかそんなこと言った記憶がうっすらと・・・」

「んで、けっきょくだれをむかえに行くんだ??」



言った言ってないとか、そんな話はどうでも良くて、まだ良く飲み込めない話のその先を俺は急かすように聞いた。


親父はニヤリと目を細め、母ちゃんは鮭から目を外し同時に俺を見て口を揃えてこう言った。



「おう、それはなーーーーーーーーーーーー」





「「お前の姉ちゃんになる子だよ」」





予想外の言葉に一度頭はフリーズした、多分。でもかと言って特に驚嘆する訳でもなく、少しの間で理解はした。その言葉の内容に関しては、だ。
きっともっと焦っても良かったと思うし、普通子供だったらもう少しこう、喜んだり興奮するのかもしれない。今思えば何とも子供らしくない反応だったと思う。
何故かその時の俺は、やけに落ち着いて状況を飲み込んでいた。何でだったのかは、よく分からない。何とも思わなかった、いや、思えなかった、と言う表現が一番しっくりくるかもしれない。 







めちゃくちゃな



(どんなひと?)
(そりゃ会ってからのお楽しみだろ)
(ちぇー)
(はいシカマル骨取ったから食べちゃって)
(へーい)


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二人の顔が明るいのが、なんてか嬉しかった



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