【新しい家族が増える】ーーーーーーーー
そんな話、意味は理解できても実感なんてすぐに湧かない。 何故ならその新しい家族になるらしい少女に会ってすらいないし、第一今まで一人っ子だった俺に急に姉貴ができるなんて誰が予想しただろう。
妹や弟、下の兄妹とかならまだわかる。最初は聞き流していたその大人だけの会話は実際のところ家族にとって大切な話で。もっとちゃんと話に耳を傾けていれば良かったと思った。
ああ、鮭だ、鮭に夢中になりすぎていた。
付け加えるように経緯を話す二人の話を簡潔にまとめるとこうだった。
身寄りのない10歳の少女を我が家で引き取ることになったと言う。世間一般でこれを養子に迎えると言うらしい。普通なら子供のいない家庭 に対する制度な気がするが、この二人にはそんなことは関係無さそうで。アカデミーに通うその少女がある程度一人前になるまで一家族として面倒を見る。期限は定められていないようだったが、親父は嫁に出せるか不安がっていた。いくら何でもその思考は早すぎる。迎える前から親バカだった。
対して母ちゃんは男二人の家族に同性の娘ができることをとても喜んでいた。一緒に夕飯の買い出しに行き、一緒にキッチンに並んで料理をしたいらしい。
俺はといえば、四人になるなら今まで三人で囲んでいたこのリビングの テーブルが少し狭く感じるのかなとか、母ちゃんの手伝いしなくても良くなって、そうしたら散歩する時間もっと増えるなとか、姉が出来るってことの本質にまでは届かない思考だった気がする。
だってあの時、俺はまだ 四歳で。
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朝食を終え、親父はいつも通り支度を始めて俺は母ちゃんと洗い物をしていた。任務が終わったら一緒にそいつを迎えに行く約束を交わし親父を見送る。
いつもならそのまま自室に篭ったり散歩しに行ったり自由にするはずが、その日は母ちゃんに連れられて街に買い物に出掛けることになった。
食器のセットや生活用品は最低限客用のがあったが、家族になるんだから!と母ちゃんたっての希望で全員お揃いのものに新調したいらしかっ
た。
女の子が増えることが何より嬉しそうで、俺は母ちゃんがいつもより楽しそうに買い物する姿を横目に見ながら付き添った。
「シカマル、湯呑みはどれが良いと思う??」
「んあ、どれでもいいじゃん」
「どれでもいくない!さあさあ、これぐらい選んでちょうだいよ。女の子 もいるんだから、あんまり渋すぎないのが良いんだけど・・・」
そんなこだわりがあるなら尚更自分で選べばいいのに・・・という言葉は飲み込んで、ケースの中をジッと見る。仕方なく俺基準で精一杯考え悩み、青をベースに小さな白い花が散らばる柄を選んだ。母ちゃんも、これなら女の子も使えるわねと賛成してくれた。
買い物から戻り、母ちゃんと客間になっていた部屋を掃除した。その客間は俺の部屋の隣で、間取りは一緒、家具などは対照的に置かれていた。
何やかんやしている内に陽は傾き、気付けば夕方前。 ガラガラと玄関の戸が開き、親父が帰宅した。
「おーーーーい、戻ったぞーーー」
「おかえりなさい」
「おう、ただいま。シカマルは?」
「もう準備はできてるはずよ。シカマルーーお父さん戻ったわよー!」
「へーい」
呼ばれて外に出るとまだ明るくて、青い空に少し多い雲。なんだか久しぶりに見た空。
あいつに出会う前の空がやけに新鮮で。俺はその時見上げた空を鮮明に覚えていた。
まってて、いまいく
(楽しみだなーシカマル)
(なあ父ちゃんはもう会ったの?)
(おう、何度かな。いやああの子は凄いぞ)
(なにがすごいの?)
(んーまあ色々だ!)
(・・・)
(ははは、まあそう焦るな。もうすぐ会えるんだ)
((はやく、みたい))
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追い風が、急かすように背中を押した
早く、早く、
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