なんの変哲もない1日になる筈だった。いつもの様に仕事を終えた夜遅く、終電にギリギリ間に合うかという場面で、年甲斐もなく全力疾走していた。間に合え、間に合え、と強く念じた所までは覚えている。けれど気が付いた時、私は透明感120%の美女に膝枕されていた──。
「美女だなんて、そんな……♡」
うっとりと目を細める彼女は誰だろう、ここは何処だろうとぼんやりとした頭で考える。そのまま声に出そうとしても、うまく声が出て来ない。
「私は転生の女神…、ここは次元の狭間。貴女はこれから、私の世界へ転生します」
こほん、と咳払いをしてからそう言った女神様。テンプレか、と頭の中でツッコんでいると、少しひんやりとした柔らかな手が私の額を撫でて、心地良い。このまま眠ってしまいそうな程。
「──を、────を、─って─さい──……」
女神様が何か言っている。けれどうまく聞き取れない。何が始まろうとしているのだろう。これは夢?現実?なぜだかもう、どっちでも良い様な気がして、優しく撫でる手に導かれるまま、ゆっくりと微睡みへと身を任せた。