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私の好きな人は、とても気分屋で怖くて意地悪で酷い人。
周りの皆は至極真面目腐った顔で「あんな最低な奴とは関わるな」と吐き散らす。
うるさいったらありゃしない。
最低な奴?そんなこと、他人に言われなくとも知っている。
寧ろ私以上に彼を理解している人はいない。
だから私はそんな皆に笑って教えてやるのだ。
「彼は皆が思っている以上に残酷で恐ろしい人なのよ。でも同じくらい美しくて可愛くて格好いい人なのよ。知らないの?可哀想に」と。
でも、皆は何故か悔しそうな顔どころか、食い荒らされた二枚貝の残骸を見るかのような目で私を見ていた。
私はとてもとても幸せなのに。
私の誕生日だからって珍しく遊ぶ約束をしてくれたのに、結局彼は気分が乗らなかったようで一日中集合場所で待ちぼうけを食らったって、気分が悪いからって彼の鋭い歯で私の柔い身の部分や甲殻を食いちぎられたって、他の雌を抱いた手で、手酷くいつ壊れたっていいようなガラクタのように抱かれたって、私はとてもとても幸せなのに。
私の全部は彼のものだから。
彼の好きなように使われるのが何より幸せなのよ。
***
そんな彼がある日、陸の学校に行くと言った。
私は何も言わずに彼に着いて行った。
当たり前だ。
だって彼と私は共生する運命だから。
いつだって一緒。
死ぬまで一緒。
