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*twitter novel 小品集






 ◇ 骨 ◇


 起きてまず目に入るのは誰かの腕だ。その白さが、俺の目を瞬かせる。

「……おい、痛ぇよ」
「…………ン、」

 耳元で声がする、甘ったれた響きに起きる気配はない。俺は体をゆすって、せめてもっと楽な位置を探そうとするのだが、びくともしない腕のなか、見つかるはずもなかった。

 素肌に纏ったイヴァンの腕が、心地よくないわけはなく、ただ、骨が軋むのだ。こんな幸福のなかにも、きし、と一本の痛みが通っている。
 数日しかない休暇だ、目を細めている時間はない、夏の朝が、窓の外から呼んでいる。

 俺は何も言わずに、後ろからまわされた太い腕を、指でぴんと弾いた。すると一層強く抱かれて、息がつまる。
 この一瞬をどう捉えていいのか、悩んでいるうちに、毎年、夏期休暇は過ぎていく。

 この骨の軋みが、永遠になるのを待つうちに、きっと全てが過ぎていく。




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 ◇ 恋 ◇

T
 僕はまだ、一度も海を見たことがない。まだ知らないはずの水平線が、心のふちを、うっすらと青くする。

「……君と、本当の海を見に行きたいな」
「俺と? どうして」
「さぁ、どうしてだろう」

 胸の鼓動が心地よい。いま、青が深まっていく。


* * *


U
 雨脚が強まり、俺は傘を引き寄せた。柄をぐっと握った手が、胸の上にある。濡れないように、空から隠れるように。あぁ、でも、駄目だ。

 透明な雫が、傘をすりぬけ、心のなかにまで降りそそいでくるようだった。――もう、どんな気持ちも隠せない、そう思った。




※「恋」の字を使わずに「恋」を表現するtwitter企画