出発を翌日に控えた日。
俺達はデートをしていた。
デートと言っても、いつも行く店に行って、少しのウィンドウショッピング。
そして、あの告白した海で、散歩をする程度だ。
それがいつも、俺たちが一緒にいる時間の過ごし方だった。
ざぁ、という波音を聞きながら、俺達は砂浜を歩く。
ひなは俺の少し前を歩きながら、歌を歌っていた。
出発を歌うその曲は、今の俺達にあまりに当てはまりすぎて、無性に悲しくなった。
一曲歌い終わったひなは俺の方を振り向きはしなかった。
「ちょぎりーさー、くぬ海を毎日見れないばぁね…」
後ろで組まれていたひなの手に、力が入った。
「寂しい…」
声がくぐもったのは、気のせいじゃない。
それくらいは解った。
抱き締めたいと思った。
でも、それをしたら本土に行くな、と言ってしまいそうで……。
俺は何も出来なかった。
ひな。
こんな彼氏でごめん。
お前の夢を、心から応援することが出来ないんだ。
明日から始まる、お前の居ない毎日が、俺には想像も出来なくて。
どれだけ意味の無い毎日になってしまうのかと、俺はそれが怖い。
でも。
でもな、お前を好きな気持ちにだけは、決して嘘は無いんだ。
それだけは、信じてほしい。