ひなが本土へ出てから、毎日1通のメールが届く。
まるで日記のような、ひなからのメール。
今日は何があったとか、誰に会ったとか。
俺はそのメールが届くと電話をすることが最近は日常になっていた。
今日のメールは、人気のある先生とやらのボイストレーニングの話だった。
「もしもし?」
『もしもしっ!
凛ちゃーん』
嬉しそうに笑うひなの声を聞けば、昼間の悲しさも寂しさも、全部晴れた。
ひなの声を聞いて、きっとひなもそうなんだろうって勝手に思ってた。
唯。
俺は、一度もひなの弱音を聞いたことがなかった。
それに気づいたのは、ひなからの連絡がまちまちになった頃だった。
また、暫くの時が経った。
ひなからの一通のメール。
ファーストシングル発売の知らせだった。
お金に余裕があったら買ってね、なんて書いてあったけど、ひなのCDなんだ。
金に余裕がなくたって、どうにか絞り出す。
その日、俺は部活を一、二時間サボってCDショップに行った。
たった数枚しか並んでない。
CDショップの片隅を彩るCD。
それがひなのCDだった。
袋を抱えて部活に向かえば、永四郎には長い溜め息をつかれた。
「ぬーがや、文句あるんばぁ?」
聞けば、もう何も思いませんよ、と無駄に丁寧に言われた。
「金城さん、有名んかいなるかやー?」
知念が空を見上げながら呟いた。
「なるに決まってるやっしー」
そう呟けば、裕次郎がタックルしてきたから、俺はCDを鞄に入れてから、裕次郎に蹴りを食らわせた。
帰ってから、一番最初に、CDを聞く。
コンポから響いたひなの声に、無駄に感動した。