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某チャンネルで毎年やっている24時間テレビにひなが出るという情報が入ったのは、それが放送される1週間前だった。
ひなに聞いて欲しい発表があるから、録画でもいいから絶対に見て、と言われた。
いつもは出演する番組を教えてくれるだけだったひなに、見るように言われたのは初めてだった。
言われた番組の日、裕次郎に誘われた寄り道を一言で断って、俺は家に帰る。
全速力で、帰る。
家に着いて、これまた全速力で母さんの居る部屋に向かう。
「あんまー、ひなは!?」
「ひなちゃん?
まだ出てねーらん」
其れを聞いて、荒い音で扉を閉めて、台所に向かう。
俺は昨日のうちに買って置いた飲み物と菓子、パン、その他もろもろを持って部屋に籠った。
明日、一応部活がある。
でも、行かないつもりだ。
ひなを見るまでは、ひなの言葉を聞くまでは。
この部屋からは出ない。
幾つかのチャレンジやマラソンの中継の合間に、訪れた芸能人の映像が映る。
今はスタジオ内でやってるチャレンジの中継だ。
その途中で、一際大きな声がテレビから響いた。
「来ましたよぉっ!
今人気沸騰中、ひなさんです!」
ぱっと映ったのは、どっかの廊下を歩くひな。
少し緊張した表情で、テレビに向かって笑顔で手を振った。
ひな。
その笑顔の裏に、一体どんな気持ちを隠してる?
俺は、食い入るように画面を見つめていた。